米国の新興企業「ハイパーループ・ワン」が開発を進めているスーパー高速鉄道「ハイパーループ(Hyperloop)」はリニア技術を用いり、真空状態のチューブ内にカプセルを浮かせ、わずかなエネルギーでカプセルの高速前進を実用させようとしている。設計時速は1120Kmに達する。
中国では2014年、西南交通大学が世界初の真空チューブ超高速リニア列車の原型実験プラットフォームを作った。列車走行時にチューブ内の気圧はわずか外部の10分の1。減圧によってリニア列車への空気抵抗を下げる発想だ。理想的な状態では、低圧チューブ内を通過する列車の時速は最大で1000Km以上に達し、エネルギー消費が少なく、騒音も抑えられる。その原理は「ハイパーループ」のシステムが採用しているコア技術と一致している。
列車の時速が400Km以上に達した場合、車体にかかる空気抵抗で駆動力の83%が消耗されてしまうという。中国科学院院士で、西南交通大学の翟婉明・教授は新華社の独占インタビューで、空力騒音、抵抗力、エネルギー消費はいずれも列車速度の上昇にともない顕著に増大すると紹介。その解決策は真空チューブを敷くことだ。一連の空気動力の問題を解決できるほか、高速運行時の快適性とエネルギー消費の採算性も確保できるという。
「われわれもこれまで、真空チューブ超高速リニア列車分野で熱心に研究を続けてきたが、いまはまだ実験室の段階にある。実用化までの道のりはなお長い」と翟教授は語った。極限の突破に向けて研究員らは試行錯誤を続けている。
西南交通大学の超伝導・新エネルギー研究開発センターの趙勇・教授が率いる研究チームは先ごろ、第2世代高速真空チューブ高温超伝導側面リニアシステムを開発。列車が走行する軌道をチューブ側面の「壁」に設置することで、環状軌道で発生する遠心力の課題を解決し、高温超伝導リニアシステムの走行速度を大幅に引き上げた。
中国の研究員によれば、チューブ内の減圧を実施していない状態で実験車両の走行時速が80Kmに達しており、安定性も増している。今後は底面軌道と側面軌道を結合する「3D軌道」も実現する可能性があるという。
もっとも、「ハイパーループ」は商業化に向けて多くの課題に直面していると翟教授は話す。例えば、リニアの高い技術コスト、長距離にわたる真空チューブの建設・メンテナスにかかる巨額の費用、高速走行時の乗客の安全確保など。翟教授は「安全技術面の保障も欠かせない」指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年5月13日