中国の製造業は受託生産、OEM、模倣品で知られる時代もあった。しかし、多くの中国企業にとって、その時代はすでに過ぎ去っている。単純にモノを作るだけでなく、デザインドリブン・イノベーションやブランド構築にも注力する企業が台頭。中国の製造業はビジネスモデルの転換期を迎え、「中国製造」の意味合いが大きく変わろうとしている。米経済誌『フォーブス』が23日付で伝えた。
こうした転換はなぜ、どのように起きているのか。
深セン市で多くの企業が「転換」を経験している。高昱電子科技有限公司もその一例だ。15年前の創業時は送風機・放熱板メーカーだった。その後、シスコシステムズ、グーグルからの受託生産を請け負うようになった。事業成長にともない、同社は2014年に自社ブランドを創設し、創造性に満ちた製品を生産、販売している。
ここ数年、各分野にわたり中国の製造業者が業務内容の質と収益力の向上に努めている。受託生産から起業した多くの業者はすでに自社設計・自社ブランドを持つ製造企業へ転身。特にここ10年、こうした変化は繊維工業、靴製造業、アパレル業で広がりを見せ、さらに電子産業まで拡大している。
欧州金融危機のあおりを受け、多くの中国製造企業は受託生産の縮小と大量に抱えてしまった在庫に悩まされた。一つの解決策として、製品に自社の商標を付け、国内市場で販売するという発想が浮上した。有名ブランドの模倣品ばかり作っていた工場から、世界市場に携帯を大量に供給してきた技術企業まで、この「製造業帝国」で自社ブランドの動きが一気に広まった。
競争が激化するなか、従来の受託生産業者は利益が細くなる一方だ。自社ブランド製造へ舵を切る業者は、小米(シャオミ)、海爾(ハイアール)、聯想(レノボ)の成功例に触発された部分もあるのかもしれない。実際、国内外の激しい競争で勝ち抜くためにも、製造業は転換を迫られている。業界関係者によると、受託生産などに比べ自社ブランドの利益率は数十倍にも達するという。
世界最大の電気街と称される深センの「華強北」を訪れてみると、中国の製造業で起きている変化を実感できる。中国政府も製造業のモデル転換を全力でサポート。政策支援が強化されるなか、中国でより多くの高付加価値の雇用が創出され、中国企業も一層強くなる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年5月25日