この3カ月の売買代金を両市場で比較してみると、直近2カ月の相場は上海市場に比べ明らかに深セン市場が強い。ともに前月を下回った2月の売買代金でも、深セン市場の減少幅は上海より小さい。こうした動きの背景には、中国の指導層が今年3月、「深港通」の年内開始を目指すと明言したことが挙げられる。それをきっかけに資金の動きが活発化。「滬港通」が開通する前の状況と完全に一致している。
14年4月に指導層が「滬港通」の開通に言及したことを受け、資金が一気に動き出した。上海市場の売買代金は14年6月が前月比55億9000万元増の655億9000万元、7月が383億1000万元増の1039億元、8月が289億5000万元増の1328億4000万元、9月が369億1000万元増の1706億1000万元、10月が44億5000万元増の1750億6000万元。11月から「滬港通」が正式にスタートした。
このデータから、政策面の動きを敏感に察知した投資資金は「滬港通」開通の数カ月前から準備を始めていたことが分かる。一方、開通直前の1カ月は売買代金の増加が落ち着き傾向にあった。「滬港通」が正式に始まった11月の売買代金は2460億7000万元と再び急増し、前月を710億1000万元上回った。この時期の深セン市場の売買代金も若干増加したものの、上海市場には大差を付けられている。 「深港通」をめぐる政策面の動き、今年3月・4月の売買代金の推移を、「滬港通」開通当時の状況と比べると、冒頭に述べた2点の裏付けが取れる。言い換えれば、「滬港通」は「深港通」や、今後導入されるほかの相互取引制度の手本でもある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年5月25日