日本で「異次元」とも言われる質的・量的金融緩和の導入と拡大にともない、日本銀行(中央銀行)のバランスシートは膨らむ一方だ。しかし、日本の製造業購買担当者指数(PMI)は低下が止まらない。世界有数の金融情報サービス企業、Markit(マークイット)がこのほど発表した5月の日本製造業PMI(確定値)は47.6となり、前月から0.6ポイント低下し、2012年12月以降で最大の下落幅を記録。製造業生産指数は0.9ポイント低下の46.9と、ここ2年でもっとも大きな落ち込みを強いられた。うち生産と新規受注はそれぞれ25カ月、41カ月ぶりの下落幅となった。
MarkitのAmy Brownbillエコノミストは「熊本で起きた地震が依然として日本の製造業に大きな打撃を与えている。第2四半期に生産と新規受注はともに持続的な低下がみられた」と指摘。さらに、海外市場の需要不振も新規受注が縮小する要因となり、輸出は13年1月以降でもっとも大きな減少となった。
日本とは対照的に、中国国家統計局が発表した中国の5月製造業PMIは50.1と、前月から横ばい。3カ月連続で好不況判断の分かれ目となる50を上回り、概ね安定的に推移している。今回のデータについて、アナリストは「製造業の生産が安定的に拡大し、企業の購買活動が加速。構造改革も着々と進み、ハイテク産業や消費のレベルアップと関連する製造業は拡張局面が続いた。余剰生産能力の解消も進展している」と指摘した。
中投顧問の馬遥・経済研究員は取材で、「日本経済に顕著な好転が見られなかったことから、経済低迷期に大規模な金融・財政緩和策の導入が必ずしも経済の安定かつ長期的な発展につながるとは限らないことが実証された。中国が経済の安定運営を図る過程でも、慎重かつ合理的なマクロ政策を講じるべき」と提言している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年6月3日