GMのビュイックが相変わらず米市場で振るわない。ある米メディアは「販売不振のため、ビュイック“Verano”の生産を10月から停止する」と報じている。
GM(中国)の担当者は取材に対し、この報道が事実であることを認めた。同担当者は、「アメリカで生産されているVeranoは、中国で生産されている“威朗”の英文名と同じだが、異なる車種だ。前者は、かつて中国市場で販売された“威朗GT”を指している」と説明する。
この数年、米国でのビュイック販売は振るわない。昨年、ビュイックブランドの主力車種「君威(Regal)」の売上が芳しくなく、新型車が登場すると大幅に価格を落としたのみならず、「昂科拉(Encore)」を除くビュイックブランドも軒並み販売数を落とした。
これについてGMは、「米市場のニーズに合わせて今後は米国でもSUVのビュイックを増やしていく」とコメントしている。
しかし、ビュイックが米国で販売しようとしている最新SUVの「昂科威(Envision)」は、中国の合資企業である上海GMのものだ。昨年の中国市場で販売されたビュイックブランドの8割以上が、この車である。
業界筋によると、今後中国市場はビュイックの“新しい故郷”になる可能性があると分析する。つまり販売と輸出の責任を担うということだ。中国市場に支えられて急速に業績を伸ばしてきたビュイックが、GM全体の業績を上げてきた。今後、販売数世界一の座を返り咲くための重要なブランドである。
Veranoが米国での生産を停止
米国で5年間販売してきたVeranoが、販売不振から今年10月にOrion工場での生産を停止する。
データによると、2015年のVeranoの販売数は3万1900台で前年比27%減だった。単月販売数は2658台。今年1~4月の販売数は前年同期比で12%近くの減少だった。
それに比べ、「英朗(Excelle)」は一貫して中国販売の大きな柱となってきた。新型の「英朗」が昨年デビューしたが、今年1~4月の販売数は10万6800台と、同期のVeranoの米国販売数の3倍以上となった。
中国市場の戦略的地位
ビュイックの第二の販売市場だった中国は、米国での販売数減によって戦略的地位が格上げされた。
上海GMが発表したデータによると、ビュイックブランドの中国市場での販売は昨年、100万台を突破。103万5500台に達した。前年比12%増である。全世界から見た中国市場販売数の割合は、前年の8割弱から昨年は83.74%に上昇している。米国市場は2割にも満たない。さらに重要なことに、今年の夏に米国市場に投入されるSUV「昂科威(Envision)」が、中国の合資企業である「上海汽車GM」の生産であることだ。
上海汽車GMの総経理である王永清氏は取材に対し、「現在、我々は2回にわたって「昂科威(Envision)」を米国に輸送した。中国は今後、GMにとって重要な輸出基地になるだろう」と述べる。
つまり、中国は現在、ビュイックの販売先だけでなく、重要な輸出基地にもなっている。中国市場はビュイックブランドの“新しい故郷”という役割を演じ始めている。中国市場によって発展を速めたビュイックブランドは、GMの世界販売の増加に大きな影響を与えている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年6月5日