韓国メディア「中央日報」ウェブサイトは20日、衛星ナビゲーション分野で中国が米国を猛追しているとの記事を掲載した。中国が自主開発した「北斗衛星ナビゲーションシステム(BDS)」が急速に発展しているのはその代表例と言える。中国国務院は最近、北斗に関連する初の白書を発表し、北斗の応用の現状と未来の戦略を公開した。
白書によると、BDSは2012年から、中国大陸部と周辺の一部のアジア太平洋地域への応用が開始された。BDSのスタートは、米国のGPSよりも20年余り遅れただけでなく、ロシアのグロナスよりも大きく出遅れた。中国が衛星ナビゲーションシステムの自主開発を進めることができたのは、位置情報の追跡と軍事・安全面での必要とが直接関係しているためと考えられる。
スタートは出遅れたものの、中国は、過去4年で世界の注目する成果を上げたと自認している。北斗システムの冉承其・報道官は16日の記者会見で、「一部の地域では性能が指標の要求を上回っている。例えば北京や鄭州、西安、烏魯木斉(ウルムチ)などの地域では、測位の精度が7メートル前後に達した。ASEAN諸国などの緯度の低い地域での測位精度は5メートル前後に達している」「今年試行の高精度強化システムが完成すれば、精度は質的な飛躍を実現し、10センチ以下に達する」と指摘し、「BDSコアの生産規格は40ナノメートルに達し、世界をリードする水準にある。自前のコアのコストパフォーマンスも国外の同類製品を上回り、最も安価なコアは10元以内だ」と語った。
記事によると、一般消費者向けの商用化分野でも顕著な成果が得られている。BDSコアを搭載した携帯電話やウェアラブルデバイスなどのモバイル機器は2400万件に達し、そのうち携帯電話は1800万台を占めている。冉報道官は、「今年1-3月期に中国大陸部で出荷された新型のスマートフォンのうち北斗のコアを利用したものは30%を上回る」と指摘する。BDSの商用化を推進するため、中国はさらに、民間企業との協力を強化している。中国政府が昨年、ある集団と連携し、北斗システムの情報を応用したサービス「千尋位置網絡」を設立したのは、その代表例と言える。
中国は2020年をBDSグローバル化の元年と定めている。中国は現在、23台の衛星を利用してBDSを運営している。そのサービスはすでに、韓国など30カ国余りに輸出されている。BDS白書には、「2018年までに『一帯一路』(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)沿線・周辺国に基本的なサービスを提供し、2020年前後までに35個の衛星の打ち上げによるネットワーク構築を完了し、世界のユーザーにサービスを提供する」との計画が盛り込まれている。BDSはその頃までに世界中のスマートフォンに搭載されるようになり、GPSと激しい競争を繰り広げていることになる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年6月22日