珠海市物聯網(モノのインターネット)産業協会が25日、設立された。珠海市の陳仁福・副市長は設立大会で、「物聯網」は、珠海が重点的に支援する戦略産業であり、珠海経済の構造転換・グレードアップの成否にかかわる重要な産業だと指摘した。中国移動(チャイナ・モバイル)珠海分公司の熊勇・総経理は、横琴で今年、全国に先駆けた物聯網ネットワークの構築を進める予定だとし、珠海は全国で2カ所の試行都市の一つだと語った。
産業協会が政府の手足に
25日の珠海物聯網協会設立大会には、珠海市副市長の陳仁福氏や政治協商会議市委員会副主席の劉青華氏らが出席した。
陳副市長によると、物聯網は2009年、国家5大新興戦略産業の一つとして正式に位置付けられ、「政府活動報告」にも毎年盛り込まれるようになった。珠海市物聯網産業協会は、この分野をリードする人物や専門家を集め、政府のハイテク発展の手足となり、物聯網産業における政府のシンクタンクとしての役割を演じることになる。陳副市長は、「珠海は今後、物聯網産業協会の専門性という強みを十分に生かし、産業のトップダウンによる設計を進め、珠海市の物聯網産業発展計画を作成し、物聯網分野の企業を力強く支援し、実力ある起業革新チームを積極的に導入していく」と語った。
珠海市物聯網産業協会はさらに同日、厦門市物聯網協会と戦略パートナー協力合意を締結した。両市は今後、連携・協力を進め、優位性による相互補完をはかる。珠海物聯網協会名誉会長で中国移動珠海分公司総経理を務める熊勇氏は、同協会は今後、珠海企業のアップグレード・モデル転換の推進に努めると語った。
500カ所のベースステーションで珠海をカバー
農業部中国三農産業発展研究院研究員でレジャー農業課題チーム責任者を務める余新文氏は、物聯網の農業における応用を紹介した。余氏によると、珠海では水産養殖に従事する人が少なくないが、物聯網がなかったこれまでは、産品の品質に対するモニタリングが困難だった。生産量は多くてもブランドを欠くことが、多くの農業企業にとっての弱みとなっている。
余新文氏によると、物聯網を発展させれば、農産品の種まきや施肥、病害制御、輸送、販売などの各段階をモニタリングすることができるようになり、農作物の生長環境の温度や湿度、日照などもデータ化できるようになり、生産率を向上させることができると同時に、食品安全問題も回避することができるようになる。これまで中国の一部都市で進められた試行では、瓜系作物の栽培で1ムー(約667平方メートル)当たり30平方メートル分の節水が可能となり、増産幅は5%を超えた。
中国移動珠海分公司の熊勇・総経理は、同社の物聯網建設計画を紹介し、同社が今年、上海ディズニーと横琴自由貿易区の両地で、物聯網通信のためのネットワーク建設を試行する計画であることを明らかにした。このネットワークのカバー範囲はこれまでのベースステーションの10倍に達し、珠海全体をカバーするのに必要なベースステーションは500カ所にすぎない。投資は数億元に達し、完成後は、物聯網企業にネットワークインフラを提供することとなる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年6月29日