中国国家統計局の許憲春副局長はこのほど開かれた「第10回中国経済成長・サイクルフォーラム」で、「新経済の持続的な高成長は、中国の伝統経済の下触れに重要なヘッジ効果を発揮し、国民経済への下押し圧力を軽減する。新経済の拡大により伝統経済の低迷による影響が相殺できれば、中国経済は基本的に安定を維持する見通しだ。」と述べた。
許憲春副局長は、イノベーション社会をめざす「大衆創業・万衆創新」戦略を背景に、新経済と戦略的新興産業は急成長していると指摘する。2016年第1四半期(1-3月)は、省エネ環境保護、次世代IT、バイオなどの戦略的新興産業の付加価値額が前年同期比で10%増加、一定規模以上工業企業の付加価値額の伸びを4.2ポイント上回った。1-5月はハイテク製造業の付加価値額の伸びが9.8%と、一定規模以上工業企業の付加価値額の伸びを3.8ポイント上回った。航空・宇宙関連設備製造業は28%、情報・化学製品は20.9%、電子・通信設備は11.4%、製薬業は10.2%増加した。
許憲春副局長は、「新経済は世界経済の発展に重要な役割を果たすとともに、政府の統計に厳しく見直しを迫る」との見方を示した。統計の基本的な概念、調査方法、GDP計算の原則と方法、価格指数の算出と雇用統計などに関する見直しが今後の課題となる。
まずは基本的概念の見直しだ。新経済については、今のところまだ国際社会で通用する統一的な基本概念が出来上がっていない。これは政府の統計にとっても厳しい課題だといえる。統計調査の分野については、共有経済(シェアリングエコノミー)を例に取ろう。伝統的な生産動態の統計では法人組織と個人事業主を主な調査対象とするが、シェアリングエコノミー、シェアハウス、カーシェアリング、駐車場シェアリングサービス、ブックシェアリングに関わるのはほとんどが住民個人だ。許憲春副局長は、「伝統的な調査方法では正しい統計データーを採るのが非常に難しくなっている」と分析する。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年7月4日