世界経済の不安定化、先進国の回復の遅れ、大口商品の価格低迷などの要素により、今年上半期のアジア経済全体は予想よりも振るわなかった。各国の経済は、二極化を呈し続けている。日本や韓国などアジアの先進国の成長は疲弊しており、インドを始めとする南アジアは力強い成長を見せている。中国経済はやや減速したが、依然として高い成長率を維持している。
今年に入ってから、世界の需要が低迷している。これによりアジアの経済国、特に開放型経済国の輸出が減少した。同時に大口商品価格の低迷も、自然資源の輸出を中心とするアジア諸国の成長を抑制している。
アジア開発銀行(ADB)は3月末に発表した「2016年アジア経済の展望」の中で、アジアの発展途上国の今年・来年の経済成長率を5.7%と予想し、2015年の5.9%を下回った。しかしこの成長率は世界的に見ると、依然として高い水準だ。ADBの魏尚進チーフエコノミストは、アジアの発展途上国の世界経済成長率への寄与度は、依然として6割以上になると強調した。
インドを始めとする南アジアは力強い成長を見せている。インド統計局のデータによると、インドの今年第1四半期の経済成長率は前年同期比7.9%で、エコノミストの7.5%という予想値を上回った。ADBは、南アジアの2016年の経済成長率を6.9%と予想し、2015年の7%をやや下回った。
フィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシアなどの東南アジア諸国の輸出が減少しているが、経済全体は比較的高い成長率を維持している。ADBは、東南アジアの今年の経済成長率を4.5%、来年を4.8%と予想しており、昨年の4.4%をやや上回った。