その一方で、日本や韓国などアジア先進国の成長率が懸念されている。日本の今年第1四半期の実質国内総生産(GDP)は、前期比0.5%増に留まった(年率換算で1.9%)。韓国の第1四半期のGDPも、前期比0.5%増。シンガポールの経済成長率は昨年、約5年ぶりの低水準となった。今年第1四半期のGDPは前期と横ばいで、前年同期比1.8%増となった。
シンガポール国立大学ビジネススクールの傅強准教授は、「アジア諸国のうち、日本の問題が特に深刻だ。日本が先ほど成長を実現した際の最も重要な武器は円安だが、英国のEU離脱などの要素により世界経済の不確定性が高まっており、リスク回避通貨の円が買われ相場が上がっている。これは日本経済の回復の原動力が、間もなく枯渇する可能性を意味している。アベノミクスという経済対策は、財政面でも通貨面でも、さらに広く展開する空間がほとんど残されていない」と指摘した。
傅氏は韓国について「外部の需要減、内需の疲弊の影響を受ける韓国経済は過去3年間、苦しい局面に陥っていた。しかし円高は韓国経済・貿易の圧力をある程度やわらげる。また韓国国内の構造改革の推進に伴い、一部のリスクが解消される。そのため韓国経済は依然として低迷しているが、全体的な安定性については信頼できる」と分析した。
中国経済はアジア、さらには世界経済の重要なエンジンであり続ける。中国の今年第1四半期のGDPは前年同期比6.7%増で、経済構造の改善、産業構造のアップグレード・モデルチェンジが続いている。ADBは、中国の2016年の経済成長率を6.5%と予想しており、依然として中国政府が設定した経済成長目標の範囲内にある。
ADB公式サイトはアジア経済の今後について、「アジアの成長の未来は楽観的」と題した記事の中で、「成長率が低下しているが、アジアの成長は依然として力強く、過去5年間の年平均成長率は6.5%にのぼり、依然として世界で成長率が最も高い地域だ。効果的な構造改革の実施により、アジアは世界の成長をけん引し続けることができる」と論じた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年7月10日