7月26日に開かれた中共中央政治局会議では、中国経済の現状について分析検討が行われ、2016年下半期の経済活動について方針が示された。
■積極的な財政政策と穏健な金融政策を活用
経済運営は安定志向で、政策の方向性は明確に。下半期の経済活動について、総需要の適度な拡大を堅持し、積極的な財政政策と穏健な金融政策を継続すると強調。臨機応変な調整を実施し、政策の重点、リズム、強弱をコントロール、供給側の構造改革に向け良好なマクロ環境を整える。
会議では、貸出と社会融資の合理的な伸びを促し、マネーの流れの円滑化に注力、貸出構造を改善し、実体経済の発展を支援する必要があると提起された。
中国国際経済交流センター経済研究部の徐洪才部長は、マネーの流れの円滑化について、「資金を実体経済、すなわち小規模・零細企業や三農、創新創業などの分野に実際に行き渡るようにすることであり、金融システムや国有企業の内部で空回りさせることではない」との見方を示した。
事実、上半期の金融改革は、マネーの流れの円滑化の方向に進展した。民営銀行の開業第2弾、技術革新を目指す企業への投資・貸出支援制度の稼働、中国インターネット金融協会(NIFA)の設立などにより、既存金融システムの弱い部分が補強されつつある。
改革推進とともに、注意すべきはリスクの防止だ。「経済の下押し圧力が続き、下半期に債券の償還期限が集中的に到来するなか、デフォルトリスクが顕在化しやすくなるため、油断は禁物だ。」と、交通銀行の連平シニアエコノミストは語る。
会議では、潜在的な金融リスクを効果的に防止・解消し、人民元相場の合理的かつ均衡ある水準での基本的な安定を維持する必要があると提起された。
「為替レートの問題提起は非常にタイムリーだ」。連平氏は、現状を踏まえ、人民元相場の過剰な変動を回避し、資本流出の抑制を図る必要がある」としている。
■正しい方策と有効な方法で5つの重点課題に取り組む
供給側の構造改革は現在の経済活動の基本方針だ。下半期は重点課題にどのように取り組んでいけばよいのだろうか?会議では、正しい方策と有効な方法で5つの重点課題に取り組むと提起された。「過剰生産能力の削減」と「脱レバレッジ」については、国有企業と金融部門の基礎的な改革がカギとなる。「不動産在庫解消」と「脆弱分野の補強」については、秩序正しい都市化の推進と農民工の市民化を有機的に結び付ける必要がある。「コスト引き下げ」については、労働力市場の柔軟性を高めること、資産バブルの抑制、税負担の軽減が重点だとしている。
■安定志向のマクロ経済政策により市場の見通しの安定化を図る
経済運営については、見通しの安定化こそが投資マインドの向上につながると言える。会議では、市場心理の改善には、◇政策の質と透明性の向上、◇安定志向のマクロ経済政策による市場の見通しの安定化、◇重大な改革措置による発展への信頼感強化、が必要だと提起された。
「政策の安定性が投資家のマインド向上に最も重要だ」。国務院発展研究センターの李佐軍研究員は、民間投資が大幅に減速していると指摘。マクロ政策の安定性強調、政策の透明性向上を通じて、民間投資のマインド向上を図る必要があるとの見方を示した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年7月27日