国際通貨基金(IMF)は4日公表の「世界経済見通し」と5日公表の「国際金融安定報告書」で中国経済の状況を積極的に評価。中国がこれまでに打ち出した安定成長政策は比較的速い経済成長を引き続き支える見込みがあるとの期待を示し、中国の経済成長率を今年は6.6%、来年は6.2%と予測した。また、中国政府の最近の改革はより均衡的な成長を後押しすると同時に、市場の力にさらに大きな作用を発揮させており、中国の経済と金融システムのリスク防御能力はこれによって高まったとの認識を示した。
「世界経済見通し」の指摘によると、中国やインドなど新興エコノミーは引き続き世界平均を上回る成長を維持しており、世界経済の成長を力強く支えている。中国は経済のモデル転換を引き続き推し進め、消費は落ち着いた成長を保ち、サービス業が経済に占める比重は引き続き高まっている。社会のセーフティネットの強化、サービス業の開放推進にともない、中国経済のモデル転換は引き続き着実に進む見通しだ。1人当たり所得の持続的増加にともない、中国と先進国との所得水準格差は今後5年で7ポイント縮小する見込みがある。
報告によると、中国は引き続き経済の投資と工業への依存から消費とサービス業への転換を推し進める。この政策は短期的には経済成長の減速を招くと見られるが、より持続可能な長期的成長の基礎を固めるものだ。
「国際金融安定報告書」の指摘によると、過去20年間に新興エコノミーのコーポレート・ガバナンス及び投資家保護は全体的に多少改善された。これは金融システムの強靱性の強化に寄与した。
報告によると、中国政府の最近の改革はよりバランスのとれた成長を後押しすると同時に、市場の力にさらに大きな作用を発揮させており、中国の経済と金融システムのリスク防御能力はこれによって高まった。それでもレバレッジ比率を引き下げ、監督・管理枠組を改善する総合的措置を講じ、中国企業の高債務問題及び金融部門の増大し続ける他の脆弱性を迅速に解決する必要がある。
米シンクタンクのピーターソン国際経済研究所と中国金融四十人フォーラム(CF40)は5日にワシントンで、中国の経済情勢と金融感覚に関するシンポジウムを開催した。IMFの張涛副専務理事は講演で「人民元の特別引出権(SDR)通貨バスケット入りは中国が引き続き通貨及び金融システムの改革を進めるうえで支えとなる。『通貨バスケット入り』は人民元の国際化プロセスにおける顕著な一歩であり、人民元が自由に使用できる通貨となることを意味する。『通貨バスケット入り』は中国の通貨、為替、金融システム改革推進の支えとなり、中国が国際金融業に一層融合する助けとなる」と指摘した。
ピーターソン国際経済研究所名誉所長、シニア・フェローのバーグステン氏は「人民元の『通貨バスケット入り』は歴史的な出来事であり、世界の経済大国としての中国の台頭を構成する重要な一部だ。世界経済と通貨制度のリーダーの1つとして、中国が一層の国際的責任を担おうとしていることも示しており、通貨制度多様化の変遷にとって積極的な意義を持つ」と指摘した。
バーグステン氏によると、人民元は通貨発行国が国際通貨としての地位を提唱し、積極的に追求した初めての通貨だろう。過去、一部の準備通貨発行国政府は自国通貨が余りに大きな世界的役割を発揮することを望まないことがあった。だが中国は責任と秩序ある方法で人民元の国際的役割を追求している。人民元の「通貨バスケット入り」はSDRの多様性を拡大した。国際通貨制度においてSDRは非常に重要というわけではないが、人民元が国際的に広く用いられる通貨となることには重要な意義がある。今後の国際通貨制度において、米ドル、ユーロ、人民元は極めて重要な役割を担う。SDR通貨バスケットを構成する5つのエコノミーはSDR理事会の設立を進め、今後の国際通貨制度の改革と発展についての議論を始めるべきだ。
「人民網日本語版」2016年10月7日