企業に新たな利益をもたらす
国際決済、海外投資が便利になり、レート変動によるリスク管理コストが低下する。これにより企業の海外進出の自信が深まり、世界基準に合わせるよう銀行に強いることにつながる。
中化集団公司資金管理部副総経理の唐致軍氏は「人民元の決済範囲が拡大し、人民元決済が普遍的になる。これはグローバル企業が夢にまで見たことだ。当社のクロスボーダー人民元決済はアジアに集中しており、範囲が狭い。多くの取引先は、人民元決済を受け入れていない。中国企業が人民元で決済できれば、国際決済と海外投資がより便利になり、レート変動によるリスク管理を促し、そのコストを引き下げることができる。長期的に見ると、人民元がSDR構成通貨になったあと、国際市場の人民元への信頼感が安定する。グローバル企業が海外で投融資を実施する際にも、力強いサポートが受けられるようになる」と予想した。
人民元がSDR構成通貨になることで、国際貿易のリスクが低下する。石油や化学肥料などの大口商品は現在、米ドルで価格設定され、決済されている。世界最大の大口商品輸入国である中国の国際貿易は、米ドルの制約を受けている。ドル高・元安になれば、輸入コストが高騰する。唐氏は「人民元は今後、世界で自由な使用と両替を維持することで、大口商品の価格設定の発言権を強化する。国際貿易を人民元建てで行うことで、関連する損失を大幅に減らすことができる」と述べた。
今後の課題
業界関係者は、人民元のSDR構成通貨入りと関連する改革は、全体的に見て中国と世界に対して大きな意義を持つとした。短期的なプラスの影響の他に、今後より深い影響が及ぶことになる。人民元の国際化に新たな活力を注ぎ、国内の改革開放をさらに促進するのだ。
専門家は、国際社会は今後より高い基準で、国際通貨としての責任という目で、中国の金融体制改革と対外開放を見るようになる。そのため人民元は構成通貨入りしただけで良いわけではなく、改革開放を推進し続けることで、人民元をより広く受け入れられる通貨にしなければならない。
例えばクロスボーダー貿易の利便性、自由な資本取引、金融市場の開放といった分野で、中国は米国や英国などその他の構成通貨発行国より遅れている。これは人民元がより広く使用され、準備通貨としての機能をより良く発揮する上での障害になる。丁氏は「中国は人民元資本取引の自由化を秩序正しく実現し、資本市場の双方向の開放を推進し、多層的な金融市場を発展させるべきだ」と提案した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年10月10日