▽数字からみたここ数年の中産階級
中産階級の線引きについて、日本には固定的な概念がない。筆者は、安定した仕事と住宅をもつ人々が中産階級だと考える。
不動産価格はバブル経済崩壊後、大幅に値下がりした。東京で働く40代の雑誌副編集長は職場の近くでマンションを買った。毎月のローン返済の圧力は小さくなく、都心部にあるため、価格は年収の約7倍だ。だがこの数字を今の北京や上海の人が聞いたら、うらやましく思うことは間違いない。
経済が低迷する今、特に不動産バブルが崩壊した後の今、住宅は中産階級の仲間入りするためのハードルではなくなった。大勢の中産階級が住宅ローンの負担の重さに耐えかねて中産階級から脱落してきたが、若い人には中産階級の仲間入りするチャンスがより多く与えられるようになった。そうしたわけで日本の中産階級はここ数年、著しく減少したということはない。
こんなデータがある。日本の内閣府が1958年に行った第1回国民生活に関する世論調査では、生活水準についての質問で「上流階級」と答えた人は0.2%、「下層階級」と答えた人は17.0%だった。約60年前に、日本社会では自分を中産階級とみなす人が80%以上いたということになる。当時の日本は決して豊かではなく、中産階級といっても今日の視点でみれば「ニセ中産階級」ではあるが。