ネットショッピングが一定の規模に達し「人口ボーナス」を得ることができなくなったこと以外に、中国電子商務研究センターの上級研究員である莫岱青氏は、増加率の伸び悩みの理由として消費者の買い物が理性的になったことを挙げる。消費が成熟した人々の買い物は、より個性と品質を追求するようになっている。 中国貿易促進会研究院が最近発表した「中国消費市場発展報告」によると、2015年、ネットショッピングの消費者のうちブランドや品質に注目する消費者は56.40%に上った。2014年よりも高い数値である。
Eコマース自体の問題もある。消費者は様々な不満を吐露している。「本物の手触りではない」、「品質が良くない」、「返品が面倒」、「消費者権利が守られていない」といった解決が難しい問題を抱えているのだ。解決できないどころか、むしろさらに悪くなる傾向にある。国家工商総局が先ごろ発表したネット取引商品のサンプリング調査によると、ネット上の不合格商品の検出率は34.6%に達した。電子レンジ、服飾、デジタル移動電話、チャイルドシートがブラックリスト入りした。 だが、それでも全ての社会消費品の販売総額に占めるネットショッピングの割合は、比較にできないほど小さい。専門家は、今後もEコマース消費は時間をかけながら増加を続けていくと考えている。
しかし、いかなる原因であろうとEコマースの増加率が伸び悩んでいるのは事実である。今後、消費の成熟、リアル店舗の再評価という背景の下、Eコマースはどのような道を歩くべきだろうか。Eコマースは今後、価格戦での成長は困難である。だからこそモデルチェンジを果たし、自分たちが以前より抱える問題を解決する努力をしなければならないと専門家は指摘する。
「消費の熟が加速するに従い、消費者は安さだけで飛びつかなくなる。よりよい買い物体験を追求するようになる。そこには品質保障や商品の個性、物流配送、アフターサービスがしっかりしているかどうかも含まれる」。中国チェーン経営協会の彭建真副秘書長は、Eコマースも供給サイドの改革を進めなければならないと述べる。消費の変化に対応するため、Eコマース大手も様々な取り組みを行っている。オフラインであるリアル店舗との連携から始まり、物流配送の効率化、支払いの利便性向上のほか、最近ではメーカーとの連携がある。これはビッグデータを活用したC2B、つまりオーダーメードを含む顧客ニーズから考えられた商品の販売である。今年の独身の日(11月11日)、タオバオはVR技術を使った360度背景の買い物体験をユーザーに提供する。京東はドローンを使って物流速度を向上させる予定だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年10月29日