ロシアは世界の食糧大国だ。ロシア極東開発省と中国関連企業は2015年の第1回東方経済フォーラムで、「ロシア極東農工業発展基金」の設立に調印し、ロシア極東地区と中国の農業生産分野での協力拡大で合意した。2016年の第2回東方経済フォーラムで同基金は関連企業と協力協議を結んでおり、ウラジオストクで、豚肉加工企業と大豆・小麦の高度加工企業を設立する計画だ。
ロシア極東開発省のガルシカ大臣は、「同基金の設立で極東地区と中国の農業生産協力の拡大が可能になる」と指摘。ロシア極東地区は食糧資源が豊富だ。ロシアは協力を通じて、極東地区での税収、農産物加工、港湾開発、輸出で増収が見込まれる。一方で中国側は、食糧確保、農業生産能力の輸出、企業の海外進出などの国際協力で収益を得られる見通しだ。
長きに渡り、インフラの弱さがロシア極東地区開発の足かせとなっていた。ロシア極東地区のインフラ整備は中露経済貿易の連携拡大を大きく促進する。中露両国は、黒龍江省同江市とロシアのニジネレニンスコエを結ぶ鉄道橋など重大インフラプロジェクトの推進を加速している。ロシア沿海部も、ロシアのナホトカ港と黒龍江省を結ぶ「濱海1号」と、ザルビノと吉林省を結ぶ「濱海2号」の、2本の交通回廊の開発を積極的に進めている。2本の交通回廊は、アジアと欧州間の貨物と人の交流の利便性向上につながり、地域と世界の経済発展に重要な役割を果たす。