観光産業への投資は以前は外国人観光客の専売特許だった。スペインのラ・ゴメラ島は気候が温暖で、風景が素晴らしく、大都市から遠いという特徴から、欧州諸国の観光客の投資先として人気がある。今では中国人観光客がこの島を訪れ、単なるリゾート地としてではなく、くつろぐと同時に投資のチャンスをつかまえるというケースがたくさんみられる。
中国商務集団の呉亜最高執行責任者(COO)は、「一部の観光客は米国やマレーシアなどにリゾートに出かけて、現地の環境が素晴らしいと感じると、そこで不動産を買うことを考えるようになり、ホテルを利用しなくなる」とした上で、「中国人の米国での投資額は11億ドル(1ドルは約104.4円)を超えた。報道によると、ロンドンやオーストラリアでは、中国人観光客が投資・購入するため、現地の一部地域で不動産価格が値上がりしたという」と説明する。
国際連合世界観光機関(WTO)のデータをみると、12年以降、中国は何年も続けて世界一の海外旅行消費国になっており、世界の観光収入に対する貢献度は年平均13%を超える。15年は海外旅行者数(のべ)と海外観光支出で世界一となり、前年比25%増加した。2008年の世界金融危機発生以降、中国人の海外旅行と海外投資は世界経済の復興を牽引する役割を果たしている。