ここ最近、人民元為替相場の変動が市場から注目されている。中国人民銀行(中央銀行)の易綱副総裁は27日、人民元相場などの問題について新華社の独占取材に応じた。
記者:ここ最近の人民元の対米ドルでの値下がり、他の主要通貨に対しての値上がりをどのように見るか?
易綱氏:人民元為替相場を観察するには通貨バスケットの視点から見る必要がある。1つの国の為替相場の水準には、政治情勢、経済情勢、証券市場の変動、市場見通しの変化など多くの要因が影響している。各国の経済構造は大きく異なり、経済サイクルや金利政策の方向性も異なる。中国経済は安定成長を保ち、金融政策も穏健な方針を維持している。その一方で米国経済は力強い回復を遂げつつあり、金融政策はすでに引き締めに向かっている。為替相場の方向性も異なり、単一通貨にペッグすれば行き過ぎた変動を招くリスクが積み重なる。それを修正すれば、相場に大きな衝撃をもたらす可能性が高い。また、貿易のグローバル化が進むなか、通貨バスケットの参照は単一通貨にペッグするのと比べて、その国の商品とサービスの総合競争力をより良く反映させることができる。また、輸出入や投資、国際収支の調整に果たす為替レートの役割をより良く発揮できるようになる。
これを受け、中国は2003年より、「人民元為替レートは通貨バスケットを参照すべき」と強調してきた。◇2005年の人民元為替制度改革、◇世界金融危機後の2010年の人民元為替制度改革推進、◇2015年8月の人民元対ドル基準値算出方法変更、◇2015年11月のCFETSなど3つの人民元指数の発表、――これらはいずれも既定の方針に基づいて徐々に進められてきたが、これにより、通貨バスケットの参照は、透明性と規則性、予見性が一段と高まった。今年は英国のEU離脱で世界の主要通貨の相場が大きく変動するなか、人民元為替レートは安定傾向を示してきた。「前日終値+通貨バスケットの変化」に基づく為替レートの調整方式が順調に回り、人民元為替レートは合理的な均衡水準で基本的安定を維持する条件が完全に整った。中国は世界一の貿易大国として、200カ国以上を相手に直接的、間接的な貿易を行っている。人民元は通貨バスケットを参照することで、貿易製品の入札比較価格を全面的に反映させることができる。また、中米貿易が中国の対外貿易全体に占める比率は14%にとどまっているうえ、中国と米国の経済サイクルも異なる。過去のように米ドルのみにペッグすれば、人民元為替レートは硬直し、行き過ぎた変動を招く可能性もあるうえ、持続は難しくなるとみられる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年11月28日