ここ最近、人民元為替相場の変動が市場から注目されている。中国人民銀行(中央銀行)の易綱副総裁は27日、人民元相場などの問題について新華社の独占取材に応じ、「人民元は国際通貨体制において依然として安定的で強い通貨としての特徴を示している」との認識を示した。
記者:人民元はここ最近、対米ドルでやや値下がりしているが、人民元はまだ強い通貨と言えるのか?
易綱氏:統計によれば、人民元は国際通貨体制において依然として安定的で強い通貨としての特徴を示している。このところ米ドルが急ピッチで値上がりしているが、それは米国経済の成長加速、インフレ期待の上昇、米FRBによる利上げペース加速の観測など、国内要因を反映したものだ。一方で、人民元対米ドル為替レートの変動がやや大きくなっているのは、トランプ氏の米大統領当選、米利上げ観測の急激な高まり、英国のEU離脱、エジプトポンドの変動相場制への移行など、外部要因が主因だ。これらは各国にとっていずれも想定外の要因だ。米国への資金還流により米ドル指数が急上昇し、NYダウなど米国の3大株価指数が高値を更新する一方で、世界の通貨は対米ドルで値下がりし、大きく下落した通貨もある。米ドル相場の先行きは不透明で、市場見通しの修正により調整局面を迎える可能性もある。
人民元はこのところ対米ドルでやや値下がりしているものの、大多数の通貨に比べると値下がり幅は比較的小さい。10月より、先進国の通貨では日本円、ユーロ、スイス・フランが対米ドルでそれぞれ、10.5%、5.8%、4.2%値下がりした。新興国通貨では、マレーシアリンギット、韓国ウォン、メキシコペソが対米ドルでそれぞれ7.2%、6.5%、6.1%ずつ値下がりした。しかし人民元の下落率は3.5%と、米ドル指数の上昇率の半分にとどまった。人民元の対米ドルでの下落率が比較的小さいため、人民元は10月から一部の主要通貨に対して顕著に値上がりしている。例えばSDR構成通貨のなかでは、対日本円で7.5%、対ユーロで2.5%、対英ポンドで0.5%値上がりした。アジアの新興国通貨では、対マレーシアリンギット、韓国ウォン、シンガポールドルでそれぞれ、4.1%、3.3%、1.2%値上がりした。
長期的なサイクルで見ると、人民元は安定のなかで上昇する傾向にある。過去5年間で、CFETS(中国外国為替取引システム)が採用した通貨バスケットを参照する「CFETS人民元為替レート指数」、BISの通貨バスケットを基に算出した人民元指数、SDRの通貨バスケットを基に算出した人民元指数、人民元対米ドル為替レート指数はそれぞれ、10.9%、11%、4.4%、8.8%値上がりした。過去10年間の値上がり率はそれぞれ、28.3%、33.4%、28.4%、11.9%で、人民元は国際通貨体制において依然として安定的で強い通貨としての特徴を示している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年11月28日