同報告書の分析によると、回答企業の65.9%が「潜在的な時価総額が上場地点を選択する上で最も重要な要因」と考えた。大陸部で上場する企業の株式収益率(PER)は欧州、香港地区、米国の各市場を上回るが、中国市場の主体は小規模な個人投資家であり、投機による影響を受けやすい。そして多くの中国企業が今のようなボーナス状態が永遠に続くことを期待してはならないことを理解しているという。
ICR社のジェレミー取締役社長は、「大陸部市場で時価総額の上位に並ぶのは多くが各分野のトップ企業ばかりで、同じ業界のほかの企業は利益を上げることが難しい状態だ」と話す。
またPwC中国資本市場・会計コンサルティングサービス分野のパートナーのローラ・バトラーさんは、「取引の監督管理機関は投資家の保護を中核的な使命ととらえてはいるが、一部の海外取引機関(たとえば米国証券取引委員会など)のやり方は企業が意義のある透明性の高い情報公開を行うよう確保して、投資家が自己決定できるようにするというものだ。これは米国で上場することを考えている企業が自社の命運をよりよく把握することにつながる」と話す
こうした背景の下、中国企業の上層部は、時価総額は方針を決定する時に考慮する要因の一つにすぎないとの見方を示す。上場地点を決定し、上場を成功させる過程では、「株式取引の流動性」(64%)と「上場のスムースさ」(51.2%)も重要な検討要因だ。上場のスムースさという点では、回答企業の3分の1以上が、「最大の懸念は監督管理部門の審査認可にかかる時間だ」との見方を示した。その他の懸念要因としては、「上場のタイムテーブルがうまくいかなくなること」や「監督管理の環境の不確定性」などが挙げられた。