専門家は先ほど、中国が2017年に時速400キロの真空チューブ高速鉄道テスト路線を敷設すると表明した。これは胸躍る情報で、米国が今年5月に初めて行った、「真空チューブ高速鉄道」推進システムのテストを思い出させる。
米ハイパーループ・ワン社は5月11日、「ハイパーループ技術」の推進システムの、初の公開テストを行った。列車は1秒内に時速96キロまで加速した。科学技術の「狂人」と呼ばれるイーロン・マスク氏が提唱する高速チューブ輸送という夢は、実現に向け一歩近づいた。
それではいわゆる「チューブ高速鉄道」とは何なのだろうか、本当に実現するのだろうか?
磁気浮上式鉄道の特許を持つドイツ人技術者のヘルマン・ケンペルは、かつて「真空チューブ」輸送という概念を打ち出した。これは古い建物内にある、文書を送るためのダクトのようなものだが、送るのは人間だ。車両はスタート地点から発射され、磁力により真空チューブ内を前進する。その途中、飛行機のように気流によって揺れることはない。
ハイパーループ・ワンの「チューブ高速鉄道」は、磁気浮上技術を使い列車を真空チューブ内で浮かせることで、少ないエネルギーにより列車を高速で前進させる。設計上の時速は1120キロにのぼる。
マスク氏は、順調であれば7−10年内に「スーパー高速鉄道」が初の乗客を乗せ、ロサンゼルス〜サンフランシスコ間を走行することになると表明した。ハイパーループ・ワンは、2017−18年に有人運行テストを行い、2021年に乗客輸送を開始し、切符を販売すると宣言した。また同社はアラブ首長国連邦のドバイ・ポーツ・ワールドと契約を結び、ドバイでの「チューブ高速鉄道」建設の実現性を研究する予定だ。
中国は同分野の研究で遅れていない。西南交通大学は2014年、世界初の真空チューブ超高速リニア車両試作機試験プラットフォームを設置した。列車の運行中、チューブ内の大気圧は外界の10分の1のみになる。研究者は低気圧環境を創り出すことで、リニア車両の空気抵抗を弱めようとしている。理想的なコンディションであれば、列車は低気圧チューブ内で時速1000キロ以上を実現する見通しだ。かつエネルギー消費量が少なく、騒音被害が生じることもない。これはハイパーループ・ワンが構想する、輸送システムの中心技術の原理と一致する。
しかし「チューブ高速鉄道」は実用化に向け、多くの実質的な問題に直面している。リニアそのものの高額な技術費用、長距離真空チューブの敷設・メンテナンスの経費、超高速で乗客の安全を守るといった問題だ。
専門家は、「チューブ高速鉄道」は大胆な発想だが、詳細な問題を解消する必要があるとした。例えば高速カーブ中に、乗客に強い遠心力に適応させるにはどうするべきか。また真空チューブ交通は全長数千キロに達するが、停電や列車の事故により長時間停車する場合、乗客にいかに酸素を供給するべきか。
中国科学院院士、西南交通大学教授の翟婉明氏は「現時点で直ちに解消が必要な問題と、長期的な発展のバランスを取るべきだ。中国レール交通の発展は異なるビジョン、短期的目標に応じて、研究と実践を行わなければならない」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年12月2日