中国は改革開放(1978年)を実施して以降、都市の建設が飛躍的に進んだ。不動産などのインフラへの投資が中国経済に対して直接大きく貢献していると言える。しかし、中国経済は、簡単な「投資主導型経済」では決してない。なぜなら、そのような見方は、直接投資の地域全体の発展にもたらす牽引力を軽視していることになるからだ。
和中氏は、「中国の交通インフラ投資を例にすると、初めて中国を訪問した90年代初めから今に至るまで20年以上が過ぎた。しかし、上海は、高架橋から各種立体交通、国際交通ターミナルを有する大都市へとは発展していない。また、道路交通網を通して、上海を中心とした、『3時間経済圈』、『5時間経済圏』などが形成されている。この点からすると、道路などのインフラへの投資がなければ、さらなる経済成長を実現することはできない」と指摘する。
しかし、経済発展のためには、不動産などのインフラ投資だけを重視していれば、何も心配する必要はないということではない。今後、中国の都市化が進むにつれ、不動産市場のポテンシャルに期待することができる。その理由は、一つの都市の不動産市場のポテンシャルを判断する基準は、人口と不動産の在庫の割合だけでなく、人々が住居の環境を改善し、さらに良い暮らしをしたいという願いがあるかを見なければならないからだ。しかし、中国製造業の企業家たちが、心を定めて少しずつ積み重ね、技術の面で向上に向上を重ねるという思いを持たずに、不動産市場のチャンスだけに目を留め、一攫千金を追い求めるなら、企業が付加価値を生み出すということは空論に帰する。
次に、和中氏は、中国の巨大な消費市場の成長を見込んでおり、大・中都市の一般世帯の年収が29年ごろに日本を超えると予想している。和中氏は、このことについて、以下のように述べている。