中国は市場化改革を進めるとともに、国際通貨制度改革に積極的に参画している。2015年8月11日、中国は人民元為替レート基準値形成メカニズムを整備し、為替相場の決定における市場の役割を拡大させた。2016年10月1日には、人民元が正式に国際通貨基金(IMF)特別引出権(SDR)の構成通貨となった。人民元は市場の需給が為替相場を決定する方向に向かって着実に進んでいる。
中国は、国際秩序の強化、整備、改革にも積極的に取り組んでいる。世界最大の発展途上国として、グローバリゼーションの過程で現れる「貧富の格差」とグローバルガバナンスで現れる両極化と対立という現象をめぐり、中国は積極的に新興国の団結を支援し、先進国との橋渡しを行うことで、世界の協力と互恵関係の構築に取り組んでいる。発展途上国が別の途上国を支援する南南協力や、BRICS、G20拡大協力メカニズムなど、発展途上国の立場から飛躍し、国際秩序の構築や改革から生まれる有益な仕組みの構築に参画している。
中国は、今の国際秩序における危機が構造的な危機であると深く認識している。内的要因の面で言えば、今回の経済危機の本質は、各国の経済構造のねじれが表面化した結果だ言われている。2008年の金融危機後、米国を起点に、従来とは異なる量的緩和措置を利用した経済回復が常態化し、真の構造改革、正攻法での対策が非常に少なくなった。外的要因の面で言えば、国際秩序崩壊の根本的要因は先進国の発言権が大きすぎることにあり、発展途上国が受け身に甘んじ、参画意欲を失っていることにある、と言われている。特に近年は、先進国が景気悪化でグローバルガバナンスの絶対的な支配権を喪失し、世界が多様化に向かっている。発展途上国にもまた世界の共同統治に参画する力や意欲が無いため、世界は断片化を招き、グローバルガバナンスは分裂崩壊の危機に直面している。