政府からみれば、新築住宅は消費財であり、固定資産であるとの位置づけで、消費税と固定資産税を同時に徴収できる。一方、中古住宅は市場に流通しても、基本的に消費税は徴収できず、付随した土地の売買でも消費税を徴収することはできない。また政府の政策的観点からみると、住宅着工率は経済成長を左右する重要な要因で、中古取引が活発になれば、新規着工率が打撃を受け、経済成長を促す政策の効果もこれに応じて減退することになる。
所有者から消費税と固定資産を同時に徴収するのは、二重課税であり、道理が通らないことは明らかだ。米国と英国では住宅に対して消費税は徴収されない。日本の関連部門が質の高い住宅に対する消費税を免除するようたびたび働きかけているが、毎回徒労に終わっている。不動産開発業者にしてみれば、政府の方針は願ったりかなったりだ。
日本の住宅投資額はGDPの3%を占めるに過ぎないが、住宅は鉄鋼、セメント、ガラス、家電、内装など多くの産業に関わり、波及効果が大きい。だが住宅の価値がゼロになるまでの周期が短く、これは所有者にとってはなかなか受け入れられることではない。そこで税制改革の話題が出るたびに、住宅が攻撃の的になるのだ。