市場の成熟で競争も新たなステージへ
さらにカギとなる背景に、世界のスマホ業界は大量生産から成熟へと向かっていることが挙げられる。
市場研究機関のIDCが発表した最新データによると、世界のスマホ販売数は2016年通年で14億7000万台。2015年の14億4000万台と比較して2.3%増にとどまった。中国、アメリカ、ブラジルなどの大市場は、2016年にピークを迎え、これまでの急増が見られなくなっている。スマホは現在、多くの市場で普及が終わり、成熟時代を迎えている。
成熟時代には、スマホ市場におけるゲームのルールも変わる。
まず、コストが高騰し続けていることから、価格戦を続けるのは困難である。スマホメーカーは、赤字で売ってまでユーザーを惹きつけるべきでない。千元スマホ市場も理性的な市場環境に戻るべきだ。これはメーカーが生存し続けられるかどうかのカギになるものだ。
次に、ユーザーの求めるレベルが不断に高まり、技術が不断にバージョンアップしていく成熟市場において、ユーザーはますますより良い製品とエクスペリエンスを求めるようになっている。メーカーは顧客志向に努め、製品の技術革新に努める必要がある。従来の、過度に安さを売りにするやり方を改め、品質の高さとユーザーエクスペリエンスの向上を目指すべきだのだ。
いうまでもなく、量を売ってなんぼのローエンド製品より、ミドルエンド、特にハイエンドの市場こそが、スマホメーカーにとって販売数と利益面で高い業績を狙える場所だ。成熟市場の時代において、これまで何台ものスマホを使ってきたユーザーは、価格を重視することなく、ブランド、品質、サービス、技などを総合的に勘案した「ブランド価値」にお金を払うようになる。そしてよりハイエンドな製品を好むようになる。この1年、OPPO、vivoなど国産スマホメーカーはミドルエンド、ハイエンド市場で存在感を見せた。ハイエンド市場の大きな価値を改めて証明した。
国産スマホの横並び値上げの背後について、メーカーが考えるべき問題はもっと多いだろう。スマホ業界すべてが、新しいステージを迎えつつある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年2月19日