米国際貿易委員会(ITC)は22日、中国から輸入されるトラック・バス用タイヤに関する反ダンピング(不当廉売)・反補助金調査の最終判断を下し、米国内産業への損害はなかったとして、米商務省が求めていた制裁関税の適用を見送る方針を決めた。中国製タイヤに関してITCが商務省の決定を覆すのは初めてで、中国商務部は「客観的な事実に基づく判断」として評価した。
米商務省は昨年2月19日、中国から輸入されるトラック・バス用タイヤについて反ダンピング・反補助金調査を実施すると発表、今年1月24日には最高で80%を上回る税率を設定するとの最終判断を下していた。
これに対し、ITCは今回、「中国製タイヤによる米国内産業への実質的な損害や脅威は認められない」とする判断を下したもので、今後、中国製タイヤの対米輸出に反ダンピング・反補助金相殺関税がかけられることはないとみられる。
中国商務部貿易救済局の王賀軍局長は、「ITCの下した客観的かつ公正な判断に賞賛の意を表する」とした上で次のように述べた。
「本件は対米輸出に携わるタイヤメーカー100社と10万人の雇用に関わる問題であり、中でも大きな影響を受けるのは国内最大のタイヤ生産地である山東省だ。商工会議所や業界団体、企業、司法関係者らとの連携を密にし、1年の時間をかけて準備してきたが、今回の判断を得るのは容易なことではなかった。今回の最終判断から、中国企業の権利意識や米側の主張に反論する力、国際貿易における発言権のいずれもが高まったことがうかがえる」