吉利と比べ、上汽集団は一歩先んじている。同社は2016年10月下旬に、タイのチョンブリ工場の建設を開始した。竣工後の生産能力は年間20万台に達し、中国自動車メーカーの大陸を除く最大の工場の一つになる。現地メディアは、投資総額を58億元以上と見積もっている。上汽集団はタイの他に、ゼネラル・モーターズと協力しインドネシアでの工場建設に7億ドルを投じている。竣工後は「五菱」ブランドの自動車を年間15万台生産する。竣工は今年下半期を予定している。上汽集団がグローバルな自動車メーカーになるためには、自主ブランド車によって海外自動車市場で一定のシェアを占める必要がある。同社の海外事業はタイが最も好調だ。
北汽福田汽車も昨年末、タイでピックアップトラックの生産ラインを稼働開始した。これはロシアとインドに続く海外アセンブリ工場で、投資総額は10億バーツ、生産台数は年間1万台。部品の55%は現地で調達されている。
全国乗用車市場情報連席会の崔東樹秘書長は「中国ブランドは『一帯一路』(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)政策に導かれ、東南アジアの自動車市場を順調に開拓している。ASEAN諸国は中国と良好な政治・ビジネス関係を持つため、中国自動車メーカーが差別的な政策に苦しめられることは少ない。さらに東南アジア諸国は中国市場への依存度が高く、中国の投資を引きつけようとしている。中国自動車メーカーはさまざまな面でASEANに投資しやすく、東南アジア市場への進出を加速している」と指摘した。
中国ブランドの東南アジア進出を力強く支えるのは、政策的なメリットだ。しかし日本メーカーは東南アジア市場を第二の大本営とし、整った産業チェーンを形成している。中国ブランドは低価格だけでは、日本の一強という局面を打開しがたい。業界関係者は「日本メーカーは中国メーカーにとって、非常に厄介な競合相手だ。すべての日本ブランドの廉価版モデルが近年、東南アジア市場に進出している。中国ブランドが単純にコストパフォーマンスを頼みにするならば、願い通りにはならないだろう。中国ブランドはさらに、東南アジア諸国の人々から認められる必要がある。日本メーカーの東南アジアにおける評判は、一日にして築かれたものではない。中国メーカーが東南アジア市場で突破口を見いだせるか、現地に根ざせるかについては、今後の経過を見守る必要がある」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年3月7日