中国社会科学院世界社会保障研究センターの房連泉秘書長は取材に対し、20年以上前に年金保険制度が作られた当時、1人の高齢者を5人で養う計算だったが、現在は2.8人にまで下がっているとした上で、この数字の変化からも年金支払圧力は確実に高まっていると指摘する。 3分の2の省が積立不足に データでは2020年までに、60歳以上の高齢者人口が2.55億人前後に増加し、総人口の17.8%を占めると予測されている。
高齢者が急増するに従い、中国の社会保障制度の持続可能性に疑問符がつくことになった。賈江副司長は、高齢者1人を2.8人で養う現状に対し、2050年には1.3人にまで下がるという予測を紹介する。
今年3月、人力資源社会保障部の尹蔚民部長は記者会見で、10人で1人の高齢者を養う省もあれば、1.2人で1人の高齢者を養う省もあるなど、その負担は省ごとに異なると紹介した。また、高齢者の急増に伴ってその数値は変化していくはずで、もし有力な措置を採らなければ、年金保険基金の運用に問題が生じると指摘している。
房連泉秘書長は、この数値が少なくなればなるほど、基金収入の増加速度が支出速度に追いつかず、年金給付圧力がますます高まっていくと同時に、毎年の年金待遇を調整する必要があることから、支出負担はさらに高まると指摘する。
人力資源社会保障部社会保険事業管理センターが発表した「中国社会保険発展年度報告2015」によると、2015年、黒竜江省、遼寧省、吉林省、河北省、陝西省、青海省の城鎮企業社員の年金保険基金は収入より支出が上回った。この現象は前年より3省増加している。