中国の李克強総理は19日に国務院常務会議を開き、一段の減税措置を実施することを決めた。引き続きコスト引き下げを進め、実体経済の底上げを図る。
会議では、2017年第1四半期(1-3月)に企業関連の費用徴収を2000億元削減したうえで、追加の減税措置を実施することを決めた。具体的な措置は下記の通りだ。
(1)「営改増」(営業税から増値税への切り換え)を進め、増値税の税率基準を整理・簡素化する。今年の7月1日より、これまで4種類あった増値税の税率を17%、11%、6%の3種類に簡素化する。13%の税率は廃止する。農産物、天然ガスなどの税率は13%から11%に引き下げる。農産物の高度加工企業が農産物を仕入れる場合は、仕入税の控除基準を据え置き、税負担の増加を回避する。
(2)企業所得税の税優遇が受けられる小規模薄利企業の範囲を拡大する。2017年1月1日-2019年12月31日まで、年間の課税所得額50万元以下の小規模薄利企業に対して税優遇措置が適用される。従来は30万元が上限とされていた。対象となる小規模薄利企業は、課税所得額の50%に対して20%の優遇税率を乗じて企業所得税額を計算する。
(3)科学技術型中小企業の研究開発費用について、税引前の追加控除の比率を高める。2017年1月1日-2019年12月31日まで、科学技術型中小企業の新たな技術、製品、加工技術などの開発過程で実際に発生した研究開発費用については、企業所得税の税引前追加控除の比率を、従来の50%から75%に引き上げる。
(4)京津冀、上海、広東、安徽、四川、武漢、西安、瀋陽の8つの全面創新改革試験地区と蘇州工業パークでベンチャーキャピタル向けの所得税控除をめぐる優遇政策を試験導入する。今年1月1日より、ベンチャーキャピタルが設立準備期、創業初期の科学技術型企業に投資する場合、投資額の70%について課税所得額の控除が受けられる優遇措置が適用される。今年7月1日から、この優遇措置が受けられる投資主体は、個人投資家まで拡大される。従来は、会社制、パートナーシップ制のベンチャーキャピタルの法人パートナーに限られていた。同政策の発効前2年以内に発生した投資案件についても同様の優遇措置が適用される。