ドゥクム港はオマーン中部、マスカットとサラーラの中間に位置する。インド洋に面し、東西を貫く中間ステーションとなっている。ここを利用すれば、ホルムズ海峡を通るよりも航程が短縮できる。港湾は水深18-19メートルあるため、大型貨物船も自由に出入り可能で、大きな発展潜在力がある。中国・オマーン産業パークの運営責任者である寧夏中阿万方投資公司の沙彦聚・総経理は、「産業パークは海水淡水化と発電所プロジェクトを優先的に実施し、重工業プロジェクト誘致の基盤固めを行う」と語る。沙氏は「3年以内に、この荒涼とした砂漠は極めて大きな変化を遂げる。ここが中東第2のドバイとなることを期待する」と、自信を示した。
「オマーンはエネルギー産業を主力としており、約8割がこれに依存している。政府は産業の多様化が不可欠だと意識しており、この流れと中国企業の海外進出の願いは謀らずも一致する」と、オマーン・ドゥクム経済特区管理委員会CEOを務めるシンガポールの企業家、李志堅氏は語った。
中国側はオマーン側が特区建設を提起したのを機に、積極的に協力を進めて来た。2015年に、両国は中国・オマーン(ドゥクム)産業パーク協力枠組み協議を締結した。産業パークは2年もしないうちに順調に基礎の建設が始まり、単一国家が入居する経済特区としては最大のプロジェクトとなった。これは双方が相互の優位性を活かして補完し合い、巨大な潜在力を共に発展させた成果だといえる。