【カギ握る米国の動き】
日本政府がAIIB参加に対する態度を和らげている背景には、米国の対中政策調整もある。トランプ政権になって以降、米国はアジア太平洋政策をある程度調整し、代表団を国際協力サミットフォーラムに派遣したことは、日本でも大きな注目を集めた。
「日本経済新聞」は17日付で、「米中の動きもにらみ日中関係の改善を」と題する社説を掲載し、「ここに来て中国は米国との連携演出も狙い始めた。トランプ政権の発想と行動は従来の米政権とは大きく異なる。それだけに日本としても同盟国、米国との緊密な連携を基本とし、十分な情報収集のうえ、必要に応じて対外政策を調整すべきだ」と指摘した。
そして、AIIBについて、「アジアのインフラ整備への支援はADB、AIIBが共有する目的である。けん制し合うだけではアジアの国々が困惑してしまう」との見方を示した。
日本富士通総研経済研究所の首席研究員の金堅敏氏は、「米国が最近発信しているシグナルは日本の姿勢に影響を与える重要な要素。もし、米国が態度を一転させれば、日本も落後するわけにはいかないため、日本はどう転んでも良いように準備している」とし、「米国の環太平洋パートナーシップ協定(TPP)離脱は日本にとってショックが大きかった。以前なら日本にはAIIBに参加しない理由がたくさんあった。しかし、AIIBが設立されてからの約1年間のパフォーマンスを見て、多くの人がそれを高く評価し、日本も言い訳ができなくなっている」と指摘している。
【最終的に参加する可能性はどれほど?】
では、日本は本当にAIIBに参加するのだろうか?最終的な答えは、米国と中国の発展に対する姿勢という2つの要素にかかっている。
米国は、日本がAIIBに参加するかを決める直接的な要素となる。日本の日中関係研究所の凌星光所長は、新華社の取材に対して、「日本は長年、日米同盟を外交の基礎とし、米国に追随してきた。米国がAIIBに参加しないのであれば、米国の顔色をいつも見ている日本が単独で入ることは考えにくい。一方、米国が参加すれば、日本も必ず足並みを合わせるだろう」と予測した。
次に、日本が中国の発展に対するねじれた見方を改善できるかということも根本的な要素となる。昨年の全国両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)において、中国外交部(外務省)の王毅部長は、「中日関係において、日本の政治家らが中国に対して間違った見方を持っていることが問題の根本原因となっている。中国の発展を前に、中国を友人と見るのか、それとも敵と見るのか、パートナーと見るのか、それともライバルと見るのか、日本は真剣に熟考しなければならない」と指摘した。
また、今年の全国両会でも、王部長は、「日本はまず、自分の『心の病』を直さなければならない。中国は発展、振興を続けているという事実を理性的に見て、受け入れなければならない」と指摘した。
新華社の元東京駐在員である劉華記者は、「最終的に日本がAIIBに参加する可能性は大きい。しかし、日本国内にはそれを阻もうとする力が存在し、その主な根源は、政治的に中国を信頼せず、経済的にも中国に対して疑念を抱いている保守派勢力」と分析しながらも、「ただ、日本が今一番気をもんでいるのは、アジアのインフラ施設開発という大きなチャンスを逃すことだ」との見方を示した。(編集KN)
「人民網日本語版」2017年5月22日