アジアインフラ投資銀行(AIIB)は設立からの3年間に発展を続けている。津上氏は、「欧州諸国をはじめ世界各国の積極的な参加により、AIIBは今や国際開発金融機関になった。初年度に計17億ドル(約1939億円)を融資した9件のプロジェクトは世界銀行とアジア開発銀行(ADB)に『スタートは順調』と評価され、『一帯一路』建設にも支援を提供した」と述べた。
津上氏は「一帯一路」建設に対する国際社会の態度の変化について、「米国の態度の変化も著しい。3年前に『一帯一路』イニシアティブを打ち出しAIIBの設立をスタートした時に、米国と日本は反対もしくは懐疑的な態度を示し、『中国が国の利益を追求するためのツールになる』ことを懸念し、『これは長年にわたり世界銀行が開発の機能を担ってきた国際金融秩序への挑戦ではないか』との疑念さえ示した」と指摘した。
津上氏は日本政府の態度の変化について、「日本が3年ほど前の古い印象に縛られて『思考停止』に陥っているのをかねてより心配してきたが、幸い日本は『一帯一路』建設の着実な発展ぶりや国際社会が幅広く参加する様子を見て、態度を変化させ始めた。そうすると日本の経済界も『一帯一路』建設がもたらす巨大な商機をより重視するようになり、国際協力の新たな分野を開拓するようになることが予想される」との見方を示した。