外国メディアによると、国際通貨基金(IMF)は最新予測で、世界経済の牽引車としての米国の役割は低下しており、英国の役割も同様に低下していると論じた。一方、中国や欧州、日本の重要性が高まっている。同組織によると、トランプと英国のEU離脱は、英米両国のムードを損ない、中国と欧州がこれに代わって、グローバル経済のエンジンとしての役割を担うようになった。
オーストリア紙「ディ・プレス」の25日の報道によると、IMFの専門家は、英米が比較的弱くなった原因は、トランプ政権の問題と英国のEU離脱がもたらした混乱と動揺にある。ここ数週間、ユーロとその他の通貨に対するドルの価格はここ14カ月の最低を更新した。同組織は、グローバル経済の発展に対し、総体としては楽観的な態度を取っている。今年の成長率は3.5%、来年の成長率は3.6%と予想されている。2016年の成長率は3.2%にすぎなかった。
「世界経済が大きな活力を得ているということにはすでに疑いの余地はない」と、IMFチーフエコノミストのモーリス・オブストフェルド氏は語る。同組織は、ユーロ圏に対する予測を0.2ポイント引き上げ、今年の成長率は1.9%に達するとしている。具体的には、ドイツとフランス、イタリア、スペインの成長状况が改善するとの予測だ。
IMFは中国の今年の成長率を6.7%としている。米国の今年と来年の成長率はいずれも2.1%とされ、今年と来年の予測はそれぞれ0.2ポイントと0.4ポイント引き下げられた。
EU離脱の交渉を進めている英国の今年の成長率は1.7%とされ、4月の予測から0.3ポイント引き下げられた。IMFは2018年の英国の成長率を1.5%としている米国の見通しが暗くなっているのは、トランプ政権の勇ましい経済計画が現実的でないと考えられているためだ。
報道によると、IMFは、インフラ投資の増加では大きな財政刺激の効果は上げられないだろうと予測している。米大統領が約束した減税についても、専門家らは現実的でないと考えている。
専門家らはさらに、英国のEU離脱が英国の問題となると考えている。IMFによると、EU離脱の決定以来、各データの進展は予想を下回っている。成長予測は0.3ポイント引き下げられ、1.7%とされた。つまりユーロ圏の成長率が今年、英国の成長率を超える可能性があるということだ。
英国政府は現在、ワシントンとの大西洋横断協力により多くの力を注ぎ、ブリュッセルとは「できるだけ良い合意」の形成をはかっている。ロンドンは、「我々の経済は根本的に言えば強い力を持っている」と主張している。
オブストフェルド氏によれば、総体的に言って、世界経済の成長の広範さは過去十年には見られないものだ。世界の貿易も成長し始めている。だが不確定性とリスクも存在する。ユーロ圏にとっては、政治的なリスクが減少すれば、成長はさらに力強いものとなる可能性もある。一方、西側の各中央銀行の通貨政策の逆転は、多くの新興工業国と発展途上国にリスクをもたらすことともなり得る。また保護主義の高まりも問題をもたらす可能性がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年7月29日