さらに、この2カ国では外国為替体制の変革が生じたが、その結果はまったく異なっている。
中国は2015年の外国為替体制の変革により、元安を促進した。元安が続けば、中国の輸出と物価上昇を支え、かつ内部から一部調整による悪影響を相殺できる。
また、中国が置かれている経済発展段階は、1990年代前半の日本と大きく異なる。日本は当時すでに豊かな先進国だったが、中国は今も発展途上国だ。中国の現在の1人平均所得水準と生産力水準は、1960年代の日本に相当する。これは中国経済が依然として、追い抜く大きな潜在力を持つことを意味している。危機勃発時に、日本のこの潜在力はとっくに枯渇していた。
最後に、両国政府の資産バブル処理に対する態度が異なるが、これは中国が日本と異なる最も大きな理由となっている。日本では資産バブルがかつてない規模に膨らんだが、これは政治家がこのバブルを事前に針でつつこうとしなかったからだ。また彼らはバブル崩壊後の影響を処理する際に、大きな過ちを犯した。ゾンビ企業や銀行システムの処理を行わず、経済リバランスの改革にも取り組まなかった。当局がこれらの過ちを犯していなければ、日本は数十年に及ぶ景気低迷を回避できたかもしれない。