8月のマクロ経済データが出揃った。全体的には予想をやや下回ったが、良好な発展の流れをキープした。今年は不動産抑制策の強化、金融監督管理政策の引き締め、自動車取得税の優遇策の終了などによる影響があったが、景気は低迷しておらず高い柔軟性を示している。これは主に、次の4つの要素に支えられたからだ。
まず、不動産市場が減速していない。不動産開発投資は今年1−8月に前年同期比7.9%増となり、伸び率は1−7月と横ばいになった。うち8月は前年同月比で7.8%増となり、伸び率が前月より3ポイント増加した。不動産販売の伸び率は低下を続けているが、不動産投資の伸び率は低下していない。これには主に、次の原因がある。(1)バラック区の住宅改築に伴い3・4級都市の不動産販売が好調となり、投資の伸び率を支えた。(2)住民の中長期ローンが依然として高水準で、短期ローンも不動産市場に進出している。(3)中央政府と地方政府が住宅賃貸支援策、土地供給政策を相次いで打ち出し、中長期的なメリットを形成している。不動産業界が減速しなければ、経済は穏健な運行を維持する。
次に、製造業が徐々に回復している。8月の公式製造業PMIは前月比0.3ポイント増の51.7%で、13カ月連続で50%以上で推移している。製造業付加価値額は前年同月比6.9%増で、前月の伸び率を0.2ポイント上回った。製造業の投資は前年同月比2.3%増で、前月の伸び率を1.0ポイント上回った。過剰生産能力の解消、環境保護の監督の推進に伴い、工業原材料価格が急騰している。生産能力が徐々に大企業に集まり、川上・川中業界の収益が改善され、製造業の投資拡大を刺激した。
それから、消費アップグレードがけん引力を発揮した。8月の社会消費財小売総額は前年同月比10.1%増となり、伸び率が前月より0.3ポイント低下した。前月比では0.76%増となり、7月を0.05ポイント上回った。伸び率は全体的にやや低下しているが、消費構造は次の3つのアップグレード効果を示している。(1)商品の消費がサービスの消費に変化している。(2)生活必需品の消費から、化粧品やアクセサリーなど嗜好品の消費へと移り変わり、今年は高い伸び率を維持している。(3)オフライン消費がオンライン消費に変化している。1−8月の全国オンライン小売額は前年同期比34.3%増で、伸び率は1−7月を0.6ポイント上回った。さらに住民の所得増加率がGDP成長率を上回り、不動産の在庫消化が関連消費をけん引したことにより、消費の伸び率は3月より2桁台を維持し、経済成長の最大の原動力になっている。
最後に、輸出情勢が例年より改善されている。今年1−8月の人民元建ての輸出額は前年同期比7.6%増で、同期としてはこの3年間で最高の水準になっている。輸出改善の主因は、世界経済の好転に伴う外需の改善、また先ほどの元安による刺激だ。現状を見ると、世界経済は下半期も好調をキープし、最近の元安も輸出をある程度促進する。第4四半期の輸出は、高い成長率を維持するとみられる。
これらの要素があり、8月の国民経済は安定しつつ前進・好転するという発展の流れを維持した。安定成長、構造改善、質向上という良好な構造を示した。当然ながら国際環境の不安定・不確定要素が依然として多いことにも注意が必要だ。トランプ大統領の経済対策の効果は予想を下回り、英国のEU離脱が紆余曲折を経ており、地政学的リスクが拡大している。これらは一連の悪影響を及ぼす可能性がある。国内では不動産市場の意欲の低下、インフラ投資の減速、民間資本の景況感の低迷などの問題がある。また昨年の経済成長率は上半期が低く下半期が高かったことから、今年第4四半期の経済成長率がやや低下する可能性がある。通年の成長率は6.8%ほどの水準となり、年初の目標に十分に届く見通しだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年9月18日