米格付け大手S&Pグローバル・レーティングは21日、中国の長期信用格付けを「AAマイナス」から「Aプラス」に1段階引き下げ、見通しを「ネガティブ」から「安定的」に変えた。
S&Pが採用する理論はすでに世界経済、特に中国経済の発展ペースに追いつけず、中国経済の発展の現状を適時・客観的・全面的に反映することができず、さらには中国経済の発展の方向性を示すこともできないとされている。中国はS&Pの一部の判断を「善意の注意」とみなすことができるが、無理に彼らの基準に合わせる必要もない。
S&Pの今回の格下げの主な根拠は、「中国の長期にわたる旺盛な与信拡大が、経済・金融面のリスクを高めた」だった。S&Pは、中国政府が企業のデレバレッジの取り組みを強化しており、中期金融リスクの動向を安定化させる見通しだが、「今後2-3年に渡り与信拡大のペースが落ちず、金融リスクの拡大を促し続けると判断する」とした。
北京師範大学国民算定研究院の李昕准教授は「S&Pが挙げた理由を見ると、与信と流動性のリスクを重視していることが分かる。これにはそもそも問題がないが、短期的な指標の変化だけで中国の金融システムのリスクが拡大していると判断し、格付けを下げるのであれば、見直しが必要だ」と分析した。
中央財経大学中国公共財政・政策研究院の喬宝雲院長は「別の国際格付け大手のムーディーズと同様、S&Pの格下げは驚くべきことではない。S&Pの理論はすでに中国の高度発展の現実からかけ離れており、中国の経済成長の柔軟性を合理的に評価してもいないからだ」と指摘した。
喬院長は「これはS&Pがすべての経済体に同じ大きさの靴をはかせ、それからこの足が適切であるかを見るようなものだ。しかし我々はまったく驚く必要はなく、この基準に合わせる必要もない。むしろ改革開放から40年弱に渡る経済と社会の発展により、我々はこれに動じない十分な自信を持っている」と述べた。
S&Pが挙げたレバレッジ比率の問題は、中国が研究と処理に時間をかけ一定の成果を上げている問題だ。国際決済銀行(BIS)のデータによると、中国の非金融企業のレバレッジ比率は、2016年末時点で166.3%で、四半期ベースで2四半期連続で低下するか横ばいとなっている。これは19四半期連続の上昇後で、初となる変化だ。中国の総与信・GDP 比率ギャップは2016年第1四半期から4.2ポイント低下しており、3カ月連続で低下した。これは潜在的な債務圧力が軽減されていることを意味する。
中金公司の梁紅チーフエコノミストは「これらの格付け会社は多くの場合、後から分析を始める。問題が生じている時にはこれに気づかず、問題が徐々に消化され解消される時に注目を始める」と述べた。
アナリストはS&Pによる今回の格下げが、中国の外資導入能力に大きな影響を及ぼすことはないと判断した。これは雇用、企業利益、工業付加価値などの各種マクロデータが依然として好調だからだ。さらに重要なのは、中国政府が経営環境の改善に取り組み続け、多くの実務的な政策措置を打ち出していることだ。
また一部の専門家は、S&Pの格下げには「誤解」があるが、指摘された一部の問題は確かに「善意の注意」として受け入れることができるとした。これはデレバレッジのさらなる推進、地方政府の債務リスクへの管理強化などのことだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年9月22日