三菱重工は、同社が開発中の日本初の国産ジェット旅客機「MRJ」に問題の製品を使用しているという。MRJの胴体と翼の接合部分および窓枠に神戸製鋼所の製品が使用されている。航空会社の業績は燃料価格の変動の影響を大きく受けるため、燃費のよい航空機があれば、業績の好不調に直接影響する。神戸製鋼所のアルミ部品と東レの炭素繊維を使用し、機体部品の重量を軽減できたことは、これまでは日本の原材料メーカーのもつ優位性だった。
JR東海が運行する新幹線の一部にも、神戸製鋼所の問題の製品が使用されている。共同通信社によると、データ改ざん問題の影響は自動車メーカーから新幹線、宇宙航空などの分野へと広がりをみせる。自動車の安全性に関わる重要部品に強度不足などの問題があることが確認されれば、データ改ざんスキャンダルはさらに拡大して大規模なリコールに発展する可能性があるという。
▽スキャンダル続出、日本製造業の「高い品質」をゆさぶる
神戸製鋼所の梅原尚人副社長は、「一部顧客がデータ改ざんを受けて問題ある車両のリコールを行う可能性はゼロではない。現在、関連会社と協議中」と述べ、データ改ざんに至った原因の一つとして「納期を守らないといけないというプレッシャー」を挙げた。決算で赤字が続いていたことによる経営陣から生産現場へのプレッシャーについては否定した。
実は、神戸製鋼所は2016年にもデータ改ざん問題を起こしている。ステンレス鋼線を製造するグループ会社が9年にわたって強度の試験値を改ざんし、日本工業規格(JIS)を満たさない製品を合格品として販売して、給湯器を含む家電や自動車などの製品が影響を被った。