人民元が国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)バスケットに採用されてから一年がたつが、多くの国が人民元を準備資産に組み入れ、決済や投資などに広く用いるようになった。世界の「友達の輪」が広がり続け、影響力が拡大中だ。
一国の通貨が国内通貨から国際通貨に変わったとされるのは、国際貿易の主要決済通貨、世界の主要投融資通貨及び準備通貨になった場合だ。
中国経済が安定しつつ好転し、人民元為替相場がほぼ安定するなか、域外機関が保有する人民元建て債券の規模が1兆元の大台を突破した。中央国債登記結算有限責任公司と上海精算所が発表した最新データによると、9月の域外機関が保有する人民元建て債券の規模は、過去最大の1兆421億5200万元に達した。
国際銀行間通信協会(SWIFT)の統計データによると、2017年6月現在、世界の1900社以上の金融機関が人民元を決済通貨として使用している。シンガポールやロシアなど60以上の国と地域が、人民元を準備通貨に組み入れている。
IMFのラガルド専務理事は以前「人民元は国際社会から認められ、自由に使用できる国際通貨になる」と述べた。IMFの李昌鏞アジア太平洋副局長は「人民元のSDRバスケット採用後、世界的な使用が大幅に拡大していないという声が多いが、これは短絡的な観点だ」と指摘した。
シンガポール金融管理局の当局者は「中国はこの2年間に渡り、外国機関投資家向けの外為・証券市場開放で、重大な措置を講じた。金融管理局はこの状況を受け、人民元をシンガポール政府の外貨準備に組み入れた」と述べた。
中国銀行シドニー支店運営部の張毅総経理は「準備通貨は政府的な行為であり、その裏側には経済の動力がある。人民元投資の収益率を考えると、政府の人民元投資は賢明な行為だ」と話した。
IMFは2015年11月30日に、人民元をSDRバスケットに採用すると宣言した。シェアは10.92%で、米ドル、ユーロ、円、ポンドと共に新たなバスケットを形成する。人民元は昨年になり正式に採用され、人民元の国際的な使用範囲が拡大した。
SWIFTの統計データによると、9月の世界取引における人民元使用の割合は1.85%で、世界6位の決済通貨となっている。中国経済の世界経済に占める割合を考えると、人民元が将来的に国際決済でさらに高いシェアを占めることになりそうだ。
専門家は「人民元のSDRバスケット採用は、人民元国際化の飛躍の重要な出来事であり、人民元レートの市場化により高い要求を突きつけた」と指摘した。
経済の高い将来性、市場化改革などの有利な要素により、人民元レートは安定をほぼ維持している。安定的なレートは、人民元国際化を支える。
米ラトガース大学商学部教授は「国内外の数多くの課題を迎えつつ、中国政府は一連の調整策により人民元レートの安定を実現した。これは賞賛に値する」と評価した。
米シンクタンク、ピーターソン国際経済研究所の上席研究員は「中国の金融改革と人民元国際化が順調に進めば、将来的に世界では米ドル・ユーロ・人民元による三者鼎立の準備通貨構造が形成されうる」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年10月30日