レノボが11月2日に発表した第2四半期業績では黒字が報告された。またレノボグループは同日、富士通パソコン事業の株を半数以上おさえたことにより、富士通、日本政策投資銀行(DBJ)と戦略協力することになったことも発表した。PCの世界シェアが5年連続で1位だったレノボだが、今年はヒューレット・パッカードにその座を奪われたことから、同社で少なからぬ衝撃が走っている。レノボの営業利益の約70%がパソコン事業で、約20%がスマホ事業である。スマホ事業ではモトローラを巨額で買収したが、その後もパッとしないことから、PC事業でのシェア微減は同社にとっていい話ではない。レノボ中国は今年初頭、人材と組織の再構築を行った。かつての同社幹部である劉軍氏も5月に正式復帰した。
業界筋は、「市場シェアNo.1に返り咲きたいというレノボの意図は明白だし、富士通の市場シェアも低いものではない。とはいえ、買収ばかりに頼る発展方法は長期的視点に欠ける」と指摘。加えてスマホ事業も問題を抱えており、レノボは強いプレッシャーを抱えている。
レノボは富士通の100%子会社である富士通クライアントコンピューティング(以下、FCCL)の株式の51%を255億円で取得する。富士通はFCCLの株44%を、DBJは5%を所有する。
取引が成立すれば、FCCLは合弁会社に変更される。富士通、レノボ、DBJの共同所有となり、これまでの社名(富士通クライアントコンピューティング)は維持される。世界のパソコン市場におけるクライアントコンピューティング設備の研究開発、設計、製造、販売を手掛ける。FCCLの現社長である齋藤邦彰氏が引き続き合弁会社の社長を務める。