ヒンクリー・ポイントC原子力発電所(HPC)の建設現場
英国南西部サマセット州ブリッジウォーターの外れにある工事現場で掘削機やコンクリートミキサー車の轟音が鳴り響く。ここは英国で20年数ぶりに新設されるヒンクリー・ポイントC原子力発電所(HPC)の建設現場。関連施設が次々に建てられ、タワークレーンが林立する。原発再開の幕が切って落とされ、低炭素社会への転換を歩み始めた英国の姿がここにある。
ヒンクリー・ポイントC原発プロジェクトは、仏電力最大手のフランス電力(EDF)と中国国有原子力大手の中国広核集団(CGN、中広核)を中心とする中国側のコンソーシアムが共同で投資建設を進めている。英中協力の「フラグシッププロジェクト」と呼ばれ、「一帯一路」の重要プロジェクトであり、英国と欧州における中国最大の投資プロジェクトでもある。
同プロジェクトは中国の原発にとって、「借り物ではない自前」を実現する第一歩となるものだ。最終的な狙いは「華竜1号」の技術を欧州に輸出することで、中国自主開発の原発技術を先進国に導入し、「原発大国」から「原発強国」への転換をめざす。