「ダブル11」(11月11日、中国の「独身の日」)が過ぎたばかりだが、「ブラック・フライデー」が再び国内消費者の「海淘」(ネットを通じて海外のサイトで買い物すること)の熱意を掻き立てている。粉ミルク、紙おむつ、スマート家電など、巨額の人民元が毎年、海外に流出している。経済参考報の調べによると、この「海淘ブーム」は高級品から日用品まで拡大している。これは中国の一部製造業の効果的な供給の不足を反映しており、中国製品の質向上を迫っている。専門家は、政府は将来的に製造業アップグレードを促進する指導力を発揮し、企業による「きめ細やかな生産」を奨励し、「匠の精神」を最大限に発揮し、「品質革命」により域外消費の回流を促すよう提案した。
記者が網易考拉海購、アリババの天猫国際、杭州税関及び越境総合試験区から提供された関連データをまとめたところ、現在の「海淘」に存在する次のトレンドと特徴が浮かび上がった。
高級品から日用品に至る全面的な活況。網易公司市場部総経理の袁仏玉氏は「昨年の商品ランキングと比べると、ベビー・マタニティ類の一強が崩れ、高級コスメ、家庭用、ケア、小型家電などの商品も国内消費者から好評を博している。これは中産階級の品質・デザイン・ハイテクへの広い需要を再び裏付けた。順位変動の裏側にあるのは、消費アップグレードと新消費時代の到来だ。今回のブラック・フライデーでは、海外の一部ブランドの最新商品が提供される。国内消費者と海外消費者は同時に、多くの海外製品を手にすることができる」と話した。
海淘がヒートアップを続け、力強く成長。杭州税関の統計データによると、浙江省の1-7月の日用消耗品輸入額は前年同期比33.2%増の234億9000万元で、全省の輸入総額の6.9%を占めた。浙江省の日用消耗品輸入はこの3年間に渡り、毎年2桁台の成長を維持している。2014年は26.3%増の199億7000万元、2015年は23.8%増の247億3000万元、2016年は28.5%増の317億7000万元。
海淘の消費者は主に、大都市のミドル・ハイエンドユーザーだ。天猫輸出入事業部総経理の劉鵬氏は「海淘プラットフォームの主な消費者の年齢層は25-35歳で、女性が多く、可処分所得が高い。また個性と品質を求め、生活必需品以外を購入する特徴がある」と指摘した。京東全球購は、海淘ユーザーを「都市部エリート」「ファッションリーダー」「若き文芸家」「専業主婦」という典型的な4種類に分けた。
一部の国内日用品メーカーによると、越境ECの発展に伴い物流システムの整備が進み、輸入日用品と原産地の価格差が狭まり、消費体験が改善され、消費の外部流出が深刻化している。「中国製造」はコストパフォーマンスの高い海淘の圧力を受けている。
北京工商大学教授の洪涛氏は、「品質革命」により域外消費の回流を促し、製造業アップグレードを促進する政府の指導力をより良く発揮し、企業による「きめ細やかな生産」を奨励し、「匠の精神」を最大限に発揮し、「品質革命」により域外消費の回流を促すべきとした。また関連制度・法律の改善についても検討し、国家品質基礎建設・奨励制度を制定し、品質特別プロジェクト資金と品質公益基金を設立することで政府調達支援を拡大すべきと提案した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年11月30日