中国は現在、経済モデルの転換の推進を加速している。進行中の汚染対策行動は、世界の製造業の中心としての役割を中国が終えつつあることを示している。(英紙『フィナンシャル・タイムズ』中国語版掲載、原題「中国の汚染対策は世界経済にどう影響するか」)
中国政府は現在、これまでにない強度で環境汚染への対応に取り組んでいる。環境保護部と中共中央規律検査委員会、中共中央組織部の官僚からなる合同監督チームはすでに、1万8千社の汚染企業を処罰し、合計1億3200万ドルの罰金を課し、1万2千人の官僚の責任を追及した。中国の指導者は、収入の増加に従って中国の民衆が生活の質をますます重視することになるとはっきりと認識している。土地汚染や水汚染の解決にはより長い時間が必要となるだろう。このためまずは大気汚染に対して宣戦を布告した。この種の汚染は主に、中国が2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟して以来の急速な工業化によってもたらされたものだ。このうち北京・天津・河北地区は、この新たな政策の重点中の重点となる。同地区は工業と自動車排気ガスの排出が高度に集中しており、冬季には空気の流動が弱まり、暖房のために石炭が燃やされることから、汚染がいっそう激化する。現在では、同地区の鉄鋼や金属精錬、コークス製造などの核心産業の企業はすでに、ピークをずらした生産とトラック使用減少の通知を受け取っている。
カギとなる冬季の数カ月、中国経済の汚染対策への反応に伴い、投資家と企業は、多くの想定外を迎える準備をしておかなければならない。中国の指導者が中国の経済モデル転換の推進を加速する中、つまり伝統的な重工業への依存を脱却し、モバイルインターネットを土台としてサービス業を導き手とする「新常態」(ニューノーマル)の経済への転換をはかる中で、来年春にはより多くの不確定性が出現する可能性がある。このような発展方式の転換は世界経済に2つの潜在的な影響を持っている。
第一に、中国はもはや、膨大な経済刺激計画を維持する必要はない。これは2008年以来、世界経済の回復のエンジンとしての役割を発揮してきたものだ。むしろ中国のモデル転換が加速され、「かつて有效であった政策」からの脱却がはかられる中で、持続可能発展という議題に世界の焦点があたっていくことを期待することができるだろう。
第二に、2008年以来、中国の生産者物価指数(PPI)は西側のインフレの優れた主要指標となってきた。この指数が今年、(工場などの)閉鎖の波の影響で再び上昇していることは、2018年に想定外のインフレが我々を待っているかもしれないことを示している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年12月15日