日本の製造業による相次ぐ事業売却の背景には、経営のスリム化や事業転換を図る戦略がある。その最たる例が家電メーカーだ。パナソニックやソニー、日立製作所といった大手電機メーカーは「家電」の看板を外し、多角経営化に乗り出している。
ソニーはデジタル家電分野で培った独自技術を応用し、医療機器市場を開拓している。2011年に医療用診断機器の開発を手がける米国のベンチャー企業、マイクロニクス社を買収、これを機に次世代診断機器の開発と事業化に向けた取り組みを加速している。銀行や保険などの金融事業も大きく成長し、そこで稼ぐ利益は今や半導体、カメラ、映画といったソニーの得意とする既存事業を凌ぐまでになっている。
日立はビッグデータや人工知能(AI)、金融ソリューション、発電や発電制御システム、工業設備、鉄道システム、半導体製造装置、臨床検査用装置、ヘルスケア、高機能材料、建設機械、車載器など事業の多角化を図り、いずれの分野も成長している。