ポジティブな側面から見ると、日銀の大規模な量的緩和政策は、世界金融危機後の過度な円高の流れとデフレ見通しを変えた。円相場は1ドル75円の最高値から現在の110円前後まで値下がりし、日本の輸出企業の競争力と収益力を向上させた。日本企業の海外での工場建設はペースダウンし、国内回帰の動きもある。2016年より、世界経済は持続的に回復し設備投資が増加、日本の電子部品と輸送機械を中心とした輸出を喚起した。17年第3四半期のGDPに対する輸出の寄与度は0.5%と、内需寄与度のマイナス0.2%を大きく上回った。財務省の統計によると、2017年4-9月期の経常収支は11.5兆円の黒字となり、前年同期比で11.%増加、9年半ぶりの黒字額となった。
2013-16年の日本のGDP実質成長率は、2.0%、0.3%、1.2%、1.0%だった。今回の景気拡張局面は1965-70年の高度経済成長期を超え、戦後2番目の長さとなったが、拡張幅はそれほどはっきりせず、緩やかなものにとどまっている。