1960-70年代に、米国の経済学者マンサー・オルソンは、国内の公共財に対する考え方として「国際公共財」(グローバル・コモンズ)という概念を提起した。国際公共財とは、非排他性と非競争性を備え、コストと収益が国境や世代、人々の枠組みを超えた共有資産を指す。
典型的な国際公共財といえば、安定した国際金融・通貨システム、開放的な国際自由貿易、良好な国際マクロ経済政策、国際安全保障システム、公海での航行の自由などが挙げられる。一部の学者は、国際公共財の概念を国際政治経済関係の分析に用いたり、国際社会の現状と結びつけて思考を整えたりする場合があり、環境型、経済型、社会型、制度型、インフラ型などに分けられる。今日では、世界平和、地域協力、自由貿易、経済成長、金融安定、環境保護、伝染病予防、知財権保護、国際的な計量基準の統一など、大規模で影響力の高い国際公共財が経済グローバル化と国際関係での重要な課題となり、世界の発展と安定、安全に大きな影響を与えている。
国際公共財の使用には、一般的に非排他性と非競争性が伴う。使用する国家の数には制限がなく、どこかの国が使用したからといって他国が損失を被るわけでもない。そのため自分で対価を支払わずに他人に負担させたがる「フリーライダー(ただ乗り)問題」が起きやすい一方で、国際公共財の安定供給には大きなコストがかかり、どこかの強大で実力ある国が率先してこのコストを負担する必要がある。
近年、中国は責任ある大国として、力の及ぶ限り国際公共財を提供し、大国としての責任を全うしてきた。例えば、「パリ協定」は非常に典型的な環境型国際公共財であり、人類社会と世界各国の持続的発展に大きな意義を持つ。しかし米国は「パリ協定」は米国の経済的利益と雇用機会に損害を与えるとして、米国の大国としての責任をないがしろにし、2017年6月1日に「パリ協定」からの脱退を発表した。一方で中国は、一貫して「パリ協定」を支持し、中国の義務を完全に履行し、気候変動対策に貢献すると約束した。また、中国が呼びかける「一帯一路」建設は、地域経済協力や国際自由貿易、インフラの相互接続、国際安全保障での相互信頼など、重要な国際公共財を結集して具現化したものだ。そして、中国が設立を主導したアジアインフラ投資銀行(AIIB)もインフラ建設向け融資を促す国際公共財だ。中国の「多くの人が力を合わせれば物事は立派に成功する」という姿勢、「一帯一路」の友人の輪の拡大、国際的な発展への合意形成は、世界と地域の経済発展とグローバルガバナンス体系の変革にポジティブに寄与している。これは中国が世界に提供する質の高い国際公共財であり、中国の国際的リーダーシップの現れでもある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年1月8日