多くの消費者にとって、三里屯を訪れる目的はショッピングだけではなくなった。繁華街の中でひっそりと佇む書店で午後のお茶を飲み、化粧品店で「スキンケアコーヒー」を味わい、自動車体験店舗で友人と夕食をとる。多くの企業が業界を跨ぐ体験店舗を開き、本業を疎かにしているようだが、人々にネット通販とはまったく異なる新鮮な印象を与えている。このような店に熱中する消費者が増えているが、体験型小売時代はすでに到来したのだろうか。
三里屯通盈センターに来ると、ある自動車体験店舗が人目を引く。しかしここの主役は自動車ではなく、カフェ、花屋、飲み物屋、バー、中国レストラン、通路に設置されている小さな各種商品だ。そのどれもが自動車から注目を奪おうとしているかのようで、消費者が体験に集まっている。
業界を跨ぐコラボは多くの実店舗に広がっている。本末転倒に見えるが、人々とブランドの交流を増やしている。三里屯太古里で、化粧品店から始まったキールズは新たな体験店舗をオープンさせた。店内では化粧品を売るだけでなく、コーヒーを売り出した。キールズの中国本土初、世界2店目となるこのカフェはオープンから間もなく、キールズのファンの間で人気店になった。
書店もコラボにより人々を集めている。三里屯の言幾又書店はライフスタイルを伝える空間になっている。本を選びお茶を注文すれば、店内のソファーで午後の時間をゆっくり送ることができる。本を選ぶ時に、気に入った抱き枕やテーブルスタンドなどの家具を買って帰ることもできる。
インターネットの時代に、消費者はネット通販でブランドの商品を購入でき、さらに安くなることもある。オンラインからの競争を受けながら、実店舗は別の手段を講じ、多元的経営の模索により特別なライフスタイルを作り、消費者を体験に集めている。第一財経商業データセンターと生活サービスサイト「口碑」が発表した「オフライン小売新生態報告書2017」によると、オンラインとオフラインの融合、複数の業界のコラボ、コミュニティ化が、オフライン小売の新たなトレンドになっている。
北京の流行の基準となる三里屯は、消費者と店側にとってどのような独特の魅力を持つのだろうか。専門家によると、これは三里屯太古里の企画を見る必要がある。多くのブランドは、成熟したビジネスエリアか、客が多いかなどではなく、遠くから一目で自分たちのブランドを覚えてもらえるかを考慮し、店の設置先を選ぶ。三里屯太古里は多くの店にショーウインドウを確保しており、ブランドが体験店舗を開きやすくなっている。「多くのブランドが王府井や西単を選ばないのは、十分な展示スペースがないからだ」
また三里屯は大使館エリアに近く、高所得層が集まる。これは多くのブランドの位置づけに合致する。集積効果により、周辺のその他のプロジェクトも三里屯太古里のモデルに近づき、徐々に新たなビジネスセンターが形成された。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年2月9日