「一帯一路」イニシアチブは人類運命共同体の構築に向けた偉大な取り組みであり、ウィン・ウインを核心とする国際的な新たな枠組み構築を目指すものでもある。なかでも金融協力の深化は、「一帯一路」資金融通の重要な支えであるとともに、国際通貨体系の新たな枠組みを創出するための重要な道でもある。
「一帯一路」構想に参画する国の多くは発展途上国であり、為替レートの管理ではいずれも2つの難題を抱えている。第1に、為替レートが激しく変動するリスクが大きいこと、第2に、通貨価値の大幅な値下がりが通貨危機を招くことだ。研究によると、一国の通貨の安定と値上がりはその国の経済の持続的で健全な発展にポジティブな意義を持つ。「一帯一路」構想に参画する発展途上国と比べると、中国は為替管理と経済発展の面で優位性があり、成功体験も持っている。経験交流を切り口に、国家間の差異を踏まえ、異なる形の通貨・金融協力モデルを設計、人民元に関連諸国の通貨との間で直接連携をとりながら為替相場の価値を安定させるアンカー(錨)としての役割を発揮させれば、人民元為替レートの安定は関連諸国の通貨の安定維持と為替レート管理をめぐる難題解決を助け、経済発展を促すはずだ。関連諸国は地域の通貨金融協力に一段と積極的に参画するようになり、「一帯一路」イニシアチブの実効性が高まる公算が大きくなる。
「一帯一路」域内の貿易・投資の急成長は本来、クロスボーダー人民元決済に発展の好機をもたらすはずだが、実際のところ海外進出企業は依然として外貨での決済を中心にしている。一部の貿易やM&A協力プロジェクトで、中国側は人民元での支払いを優先的に検討するものの、最終的には米ドルで決済されることが多い。元来、人民元は為替決済や投資のチャネルが限られており、人民元関連のリスク管理ツールも相対的に少ない。そのため、人民元はまだ使用にあたって利便性が高いとは言えず、海外の金融機関も人民元を保有しようという意欲が低い。人民元の国際化を一段と進めるには、中国は関連諸国との通貨・金融協力を深める必要がある。人民元と現地通貨の間に安定したメカニズムを構築し、地域の国際通貨競争で人民元の優位性を形成して初めて、相手国は人民元を保有したいと思うようになり、人民元の真の「海外進出」と「現地への定着」が実現、現地で通貨循環構造が形成されるようになる。同時に、多くの「一帯一路」参加国が実行しているのが中間レートの設定で、中国の為替管理制度とある程度似た部分がある。これは、人民元が通貨のアンカー(錨)として地域通貨の安定システムを構築するにあたり、現実的な基盤となる。
「一帯一路」の互恵的な通貨・金融協力には、関連国家の為替レート安定と経験交流を切り口に、人民元為替レートのアンカー(錨)としての役割を発揮し、人民元の国際化を推し進める必要がある。また、外国為替先物市場を含む外国為替市場の体系を整備することは、通貨・金融協力深化の有力な保障になり、「一帯一路」イニシアチブの順調な実施に重要な役割を果たすことになる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年3月29日