米ドル高が依然として新興国市場の主なリスクとなるなか、世界貿易の減速が企業所得に影響し収益率低下を招くとの懸念が、新興国市場株の魅力を低下させている。しかし、今後も米ドル高が続くとは考え難く、新興国市場の資産価値は回復する可能性が高い。特に、海外投資家の中国の株式・債券に対する需要は減少しておらず、中国資本市場は新興国市場を支える主な原動力となっている。
5月に入ってから、新興国株式市場の資金の流れが注目されている。
5月第1週、新興国株式市場から16億米ドル規模の資金が流出し、11週続いていた資金純流入の流れが止まった。第2週、新興国株式を投資対象とする米国のファンドからの資金純流出額は8.7億米ドルに上り、2016年11月以来最大規模の流出となった。この2週の状況から、一部の投資家の間では新興国市場は弱気相場に入ったとの見方が浮上したが、その後、資金の流れは反転した。5月第3週、新興国株ファンドは3.95億米ドルの資金純流入に転じた。そのうち、アジアとラテンアメリカのファンドはそれぞれ3.05億米ドルと3.36億米ドルの資金純流入となったが、アジアファンドへの資金流入は中国関連ファンドへの資金流入が主因で、世界の新興国市場と欧州・アフリカ・中東のファンドはそれぞれ0.81億米ドルと1.65億米ドルの資金流出となった。