強硬な反撃をくらった雄牛のように、米国のトランプ政権は血眼になり、18日夜に再び声明を発表した。先ほど発表した500億ドルの制裁関税リストを踏まえた上で、さらに価値にして2000億ドルの中国製品に10%の追加関税を導入することで、「米国の知的財産権と技術の買収に関する不公平なやり方を変えようとしない」中国に報復するとした。
中国商務部は本件について談話を発表し、米国側のこの手の「極度の圧力をかけ脅迫するやり方は、双方の複数の協議によって形成した共通認識にもとり、国際社会を強く失望させている。米国側が理性を失いリストを発表すれば、中国側は量と質を合わせた総合的な措置により強く反応せざるを得ない」と批判した。
500億ドルから2000億ドル、さらにホワイトハウスの「中国が再び関税を引き上げれば、米国は2000億ドルの貨物に別途で追加関税を導入する」という声明に至るまで、米国が追加関税を導入すると脅迫した中国製品の総額は合計で4500億ドルにのぼる。中国海関(税関)総署の統計データによると、中国の昨年の対米輸出貨物は4298億ドルにのぼる。つまり米国側がリストを発表すれば、米国市場はすべての中国製品に対して扉を閉ざすことになる。これは確かに理性を失っており、狂気じみているほどだ。
グローバル化が発展した今日、市場の法則と世界の大勢を理解している大国の指導者であれば、中国という世界2位の経済体に対して扉を閉ざすという荒唐無稽なことをするはずがない。ましてやビジネス界で数十年世渡りし、「取引の芸術」を深く理解しているトランプ大統領ならばなおさらだ。そのためホワイトハウスの理性を失ったかに見える声明の裏には、中国からの強硬な反撃を受けたことによる怒り、貿易戦争によって米国の株価が低下するという恐れ、中間選挙の焦り、中国という強敵を退け世界的な貿易戦争を推進できない憤りがある。数字遊びで金額を上げ続け、中国側に極度の圧力をかけることで有権者の支持を勝ち取ることが、トランプ氏のやむなき必然的な選択肢になっている。
しかしこの利己的で、中米両国と世界の人々の利益を弄ぶやり方を受け、国際社会は次のことをはっきり認識している。米国が求めているのは単なる「貿易バランス」ではなく、関税という武器を利用し道を切り開き、米国の政治・経済・軍事・技術などの圧倒的な覇者としての地位を守るため、一国で多国と世界に喧嘩を売ろうとしているのだ。この覇者の心理、全世界の自由貿易、経済グローバル化、多国間貿易体制、世界の産業チェーンに重傷を負わせるやり方は、赤裸々な「貿易のテロリズム」ではなかろうか。
しかしこのやり方は米国の問題を解消せず、かつ「衰えゆくメリケン」を救うこともない。「歴史の終焉」を唱えたフランシス・フクヤマが近年反省しているように、米国の政治制度は日増しに効果を失い、利益集団が過度に大きな発言権を手にしているが、大多数の国民の利益と意志が守られ、政治に反映されることはない。JPモルガンのダイモンCEOも、米国の近年の経済成長率の低下は「なにかがおかしく、これが米国を後退させている」と指摘している。多くのアナリストは、米国経済は短期的には好転するが、経済の長期低迷の流れは変わっていないと判断している。政治家らが米国経済の構造問題を解消できなければ、2008年のサブプライムローン危機による資産価格の高騰、所得格差のかつてない拡大といったリスクが常に暴発する可能性がある。
「貿易のテロリズム」は米国を救わないが、経済のグローバル化、多国間貿易体制、世界産業チェーンに深刻な損失をもたらす。そのため中国は当初から「国益と国民の利益、経済のグローバル化と多国間貿易体制を断固たる姿勢で守る」という態度を明らかにしていた。目を真っ赤にしているトランプ政権の「変化」に対して、中国側は「不動」で応じる。また中国の反撃は総合的な戦術であり、量(対象となる米国製品の規模)と質、反撃の効果を重視する。「貿易のテロリスト」に痛みを与え、恐怖を覚えさせるのだ。
また米国側のこの念入りに計画した貿易戦争において、中国は彼らが初めて遭遇した強硬なライバルであることに注意が必要だ。中国側が譲歩すれば、米国のその他の貿易パートナーにも被害が及ぶ。幸いにも、米国の「貿易のテロリスト」の本質と狙いを理解する国が増えており、米国のアジアにおける鉄の同盟国である日本の安倍晋三首相でさえも「理解できず、受け入れない」と表明し、米国側の貿易措置を世界貿易機関(WTO)ルールに合致させるよう求めた。米国の狂気じみた動きを受け、国際社会は早急に手をつなぎ共に反発し、一ミリも譲歩しない姿勢と措置によって、この貿易の「対テロ戦争」に勝利する必要がある。(国際問題評論家 盛玉紅 )
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年6月20日