2018中国(青海)リチウム産業・動力電池国際ハイレベルフォーラムがこのほど、西寧市で行われた。フォーラムが発表した報告によると、電気自動車産業の急発展に伴い、中国は世界最大のリチウム電池生産国になり、日韓とともにリチウム電池市場を主導している。しかしこの「繁栄」のもとで、資源の開発利用能力の落後、動力電池技術のレベルの低さ、電池リサイクル体系の空白などの問題は産業競争力を制限している。今後、次世代の動力電池の開発が進み、欧米の先進国も同産業に入り、潜在的な試練が形成されるとみられる。
リチウム電池は現在の動力電池の主流であり、新エネルギー車産業の発展と密接に関わっている。業界の専門家は、「各国が動力電池業務を展開する肝心な時期にあり、中国は動力電池製造大国として既存の問題を解決し、標準化制度の構築、リサイクル体系の健全化、コア技術の掌握を早急に進めてこそ、この競争で優位に立てる」との見解を示した。
フォーラムで発表された『リチウム電池産業発展報告(2018)』は、中国のリチウム資源は豊富だが、利用率は低く、動力電池の重要な材料であるニッケルとコバルトは不足しており、対外依存度が高いとした。
中国のリチウム埋蔵量は世界上位だが、中国のリチウム製品の加工に必要な鉱石の原料は輸入に依存している。中国工程院院士で中国地質科学院塩湖センター主任の鄭綿平氏率いるチームは、リチウム資源の実際の対外依存度は70%前後だと推算。チベット高原の塩湖のリチウム資源は豊富だが、塩水に含まれるマグネシウムとリチウムの割合が高く、リチウムの分離抽出は困難である。これらの地域は塩湖のリチウム抽出からリチウム電池生産までの産業チェーンをほぼ形成しているが、技術レベルの制限、関連産業の不足などにより上・下流企業間の連携がとれていない。
中国電気自動車百人会の秘書長兼チーフ専門家の張永偉氏は、「中国の電気自動車産業は急発展し、2030年には生産台数が1000万台に達する。その時、開発技術の課題による資源供給問題が浮き彫りとなり、産業チェーン全体のコスト圧力につながるだろう」と話す。
アナリストは、世界の動力電池企業の競争は上流の材料分野に拡大し、資源の掌握こそが主導権を握る鍵になるとみている。中国電気自動車百人会陳清泰理事長は、中国はリチウム、ニッケル、コバルトなどを戦略的資源とし、調査、評価、採掘、リサイクルに重視し、市場管理を強化し、価格を理性的な水準に戻し、資源の安全リスクを低下させるべきだとアドバイスした。
電池のリサイクルはほぼ空白状態
専門家によると、新エネルギー車が淘汰した動力電池の初期エネルギー量は70~80%を維持し、電池には価値のある金属材料も含まれており、適切に回収しなければ無駄になる。
陳清泰氏は、中国の動力電池のリサイクル技術はまだ成熟しておらず、調達ネットワーク、管理措置、政策支援も整っておらず、ビジネスモデルと利益モデルの模索が必要との見解を示した。
陳清泰氏は、「中国が最も早く導入した車載動力電池は使用期限を迎えた。動力電池のリサイクルは環境保護に重要な意味があり、関連の技術、安全、環境保護基準を制定し、動力電池のリサイクル奨励メカニズムの構築を研究する必要がある」と述べた。
北京賽徳美資源再利用研究院有限公司の趙小勇取締役社長は、「中国はリチウム電池の原材料が少ない国で、循環利用は資源の保護にもつながる」と述べ、法律を通して電池回収を企業の「必須事項」にすべきとの見解を示した。
将来、リチウム電池の競争は激化
統計によると、中国、日本、韓国は世界のリチウム動力電池市場の主導権を握っている。うち、中国の動力電池出荷量は38GWh(ギガワット時)に達し、世界の出荷量の60%以上を占め、世界10大動力電池企業のうち7社が中国企業である。
日本の新エネルギー・産業技術総合開発機構の発表によると、日本の一部の自動車企業、電池企業、学術機関は2022年までに固体電池の関連技術を全面的に掌握する方向で共同開発を進める。ドイツのフォルクスワーゲンも、固体電池の開発と生産に1億ドルを投資すると発表した。
業界関係者は、中国企業は固体リチウム電池分野への参入が遅く、研究機関または学校が中心となっており、産業化が遅いと指摘する。世界範囲で見ると、欧米企業は今回の競争で立場を失ったが、次段階の競争に備えており、強力なライバルになるとみられる。
陳清泰氏は、「自身の地位を高めるにはコア技術を掌握することが最も重要で、コア技術を絶えず構築できる能力が必要。肝心なのは優秀な人材を集め、十分な開発費を確保すること。電池企業は国の支援と高等教育機関、研究期間の協力を通して動力電池の基礎研究を進める必要がある」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年7月2日